安楽 が銀メダル 17歳の万能型 スポーツクライミング   

スポーツクライミング男子複合決勝の安楽宙斗選手=9日、ルブールジェ(時事)

 

 スポーツクライミングは9日、男子複合決勝が行われ、安楽宙斗(JSOL)が銀メダルを獲得した。日本男子のメダル獲得は五輪採用2大会目で初めて。

 安楽は前半のボルダーで2完登するなど首位に立ったが、後半のリードでは全体5番目の76・1点にとどまり、逆転を許した。合計は145・4点。同155・2点をマークしたトビー・ロバーツ(英国)が優勝した。

 一歩届かず 安楽、悔しさ糧に

 初めての五輪の舞台。力強く目の前の壁を攻略していく姿には高校生とは思えない風格が漂った。五輪採用2大会目で日本男子に初の銀メダルをもたらした安楽は「初めての五輪で取れたのはうれしいが、悔しさの方が強い」と少し複雑な表情を浮かべた。

 前半のボルダーは最初の課題を1回目で軽々と完登すると、絶妙なバランスが要求される二つ目も攻略。69・3点でトップに立った。だが、得意のはずのリードでは中盤から動きがもたつき「疲れやメンタルの乱れが入ってしまった」。終盤で力を使い果たして落下。逆転を許した。

 もともとは脚の力をうまく生かし、上半身の力をあまり使わずに登るリードが得意なタイプ。高校1年から筋力トレーニングに積極的に取り組み始め、大きく成長を遂げた。

 以前は懸垂が1回もできないほどだったが、上半身に力強さが増し、昨年のワールドカップではボルダーでも総合優勝を果たすまでになった。たった数年で世界屈指の万能型選手に進化。それでも頂点には足りないものがあった。

 満員の観客は17歳の奮闘を総立ちでたたえた。安楽は「今回は微妙な感じで終わってしまったので、『最強』と言われるクラスになれるよう頑張りたい」。悔しさを糧にさらなる高みを目指す。

日本男子 銅メダルならず 地元フランスに惜敗 卓 球

 卓球は9日、男子団体の3位決定戦が行われ、日本は地元フランスに2―3で敗れ、この種目での3大会連続のメダル獲得はならなかった。

 日本は第1試合のダブルスで戸上隼輔(井村屋グループ)篠塚大登(愛知工大)組、第2試合のシングルスで張本智和(智和企画)が連敗。その後に戸上、張本が連勝して追い付いたが、第5試合で篠塚が敗れた。

 決勝は、中国がスウェーデンを3―0で下して5連覇を遂げた。

陸上競技  日本、男子400 リレーで5位

 陸上は9日、男子400メートルリレー決勝が行われ、日本(坂井、サニブラウン、桐生、上山)は37秒78で5位だった。2016年リオデジャネイロ五輪の銀以来となる2大会ぶり3度目のメダルはならなかった。カナダが37秒50で、1996年アトランタ五輪以来の金メダル。

 女子1万メートルで五島莉乃(資生堂)は31分29秒48で18位。小海遥(第一生命グループ)は19位、高島由香(資生堂)は22位。ベアトリス・チェベト(ケニア)が30分43秒25で制し、5000メートルとの2冠を達成した。

 女子七種競技はナフィサトゥ・ティアム(ベルギー)が3連覇。男子400メートル障害決勝はライ・ベンジャミン(米国)が46秒46で優勝した。

攻めの一手 実らず

 日本の攻めの一手は実らなかった。男子400メートルリレー決勝。予選で2走だった柳田を外し、スタートの得意な坂井からエースのサニブラウンにつなぐ「ぶっつけ本番」の布陣で先手は奪ったものの5位。2大会ぶりのメダルには届かず、サニブラウンは「死ぬほど悔しい」と唇をかんだ。

 予選を通過した8日夜、スタッフから走順変更が告げられた。近年は2走に柳田を固定していたため、坂井からサニブラウン、桐生へのバトンパスは決勝当日のウオーミングアップで初めて合わせた。

 まずまずの位置で出たサニブラウンが区間最速の8秒88の走りでトップに押し上げ、スムーズなバトンパスから桐生も絶妙なコーナリングで位置を守った。だが、各チームのエース級がそろうアンカー勝負で、上山が次々に抜かれた。

 東京五輪と違ってバトンはつながったが、3大会連続でリレーを走っている桐生は「何とも言えない順位」と顔をしかめる。正確なバトンパスを武器に日本の「お家芸」となった種目で、世界選手権を含めても2019年の銅メダル以降、表彰台から遠ざかっている。

 金メダルのカナダとは0秒28差、銅の英国とも0秒17差がついた。サニブラウンは「バトン技術でうまい方と言っているだけじゃ駄目。個人の走力ももっとアップして、他の国を寄せ付けないぐらい前でフィニッシュするのが目標」。来年の世界選手権東京大会での雪辱を誓った。

 張本、エース対決で一歩及ばず

 地元フランスへの地鳴りのような応援に包まれた卓球男子団体の3位決定戦。0勝2敗と追い込まれた日本は必死に追い上げたが、最後は篠塚の粘りが及ばず、3大会連続のメダルには手が届かなかった。張本智は「このチームを誇りに思う」。悔しさを押し殺し、仲間と健闘をたたえ合った。

 第1試合のダブルスを落として迎えたエース対決が明暗を分けた。張本智が世界ランキング5位のF・ルブランに立ち向かう。一進一退の攻防の末に勝負の第5ゲームへ。バックハンドの激しい打ち合いを制するなど、先にマッチポイントを握ったものの、観衆の後押しも受けた相手は諦めない。5点を連取されて逆転負け。苦笑いを浮かべるしかなかった。

 7日の準決勝の最終試合では、ゲームカウント2―0から試合をひっくり返され、敗戦の責任を背負い込んだ。「勝ちたいか、勝ちたくないか、それだけだ」。前日の夜、宿舎のリビングで仲間にそう声を掛けて挑んだ3位決定戦。望んだ通りの結果にはならなくても、日本のエースとして堂々と戦い抜いた。

 「全員が出し切った。いいチームだった」と張本智。若くて未来のある3人の挑戦は苦いものに終わったが、この経験を必ず糧にできるはずだ。

米国が 銅メダル バレーボール

 バレーボールは9日、男子の3位決定戦が行われ、米国がイタリアを3―0で破り、銅メダルを獲得した。

ボクシング 性別騒動の ヘリフが金 

 ボクシングは9日、男女4階級の決勝が行われ、女子66キロ級はイマネ・ヘリフ(アルジェリア)が楊柳(中国)を5―0で下し、金メダルを獲得した。ヘリフは昨年の世界選手権を性別検査で失格となっており、論争を招いている。

 男子92キロ級はラジズベク・ムロジョノフ、71キロ級はアサドフヤ・ムイディンフジャエフ(ともにウズベキスタン)、女子50キロ級は呉愉(中国)が制した。

  卓球中国男子 5連覇達成
 卓球は9日、男子団体の決勝が行われ、中国がスウェーデンを3―0で下し、金メダルを獲得した。団体戦が始まった2008年北京五輪から5連覇。

ウエイトリフティング ナサル 世界新で金

 重量挙げは9日、男女各1階級が行われ、男子89キロ級でカルロスマイ・ナサル(ブルガリア)がスナッチで180キロ、ジャークで世界新記録の224キロをマークし、トータルでも404キロで世界記録を更新して優勝した。

 女子71キロ級はオリビアリン・リーブズ(米国)がトータル262キロで金メダル。スナッチで五輪新記録の117キロを挙げた。

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