国土交通省北海道運輸局苫小牧海事事務所は9月の船員労働安全衛生月間を踏まえ、貨物船の訪船などを通じて労働災害防止の啓発活動に取り組んでいる。月末までの期間中は苫小牧港に入港する貨物船やRORO船(フェリー型貨物船)、旅客フェリー30~40隻を訪問し、点検指導するなど、海事関係者の安全意識のさらなる向上を図っていく。
船員の労働災害発生率は、第一次船員災害防止計画が策定された1967年当時との比較で死傷は4分の1、疾病は8分の1に減少している。ただ、この10年間は横ばい傾向が続いており、陸上の全産業と比べると4倍も高い水準にあり、高齢船員の死傷災害が目立っているという。2017年度の死亡・行方不明者数は全国34人のうち、海中転落が15人と4割を占めている状況だ。
同月間は1957年度から毎年開催され今年で63回目。今年度のスローガンは「元気に乗船 無事故で下船 笑顔で帰宅のゼロ災害」に設定した。同事務所エリアの苫小牧からえりもにかけて海事関係者で組織する苫小牧地区船員労働安全衛生協議会が主体となり、活動を展開する。期間中は苫小牧港などに寄港した船舶を訪れる。
活動初日の2日は、同事務所職員2人が千葉県から苫小牧港・西港の晴海埠頭(ふとう)に接岸した貨物船の泉栄丸(499トン)を訪問。船員法に基づき、船内保管が義務付けられている書類の点検、機関室などの見回りを約30分かけて行った。
阿部安男船長(58)は「油断すると事故につながってしまうのでいつも安全を意識している。指導を受けて改めて気が引き締まった」と話す。同事務所の崎野新首席運輸企画専門官(47)は「船は閉ざされた空間で労働環境は厳しく、事故が起こりやすい。船員としての初心に返って安全運航を心掛けてほしい」と訴えている。
















