日本製紙勇払事業所、来年1月に洋紙生産停止 人口減少の加速懸念 市は動向注視で全庁対応検討

日本製紙勇払事業所、来年1月に洋紙生産停止 人口減少の加速懸念 市は動向注視で全庁対応検討
今年12月20日で診療を終える勇払診療所

 苫小牧市勇払地区では、日本製紙が北海道工場勇払事業所の洋紙生産ラインを来年1月で停止することを決めたため、人口減少の加速に伴う地域衰退への危機感が広がっている。今年12月20日には同社の勇払診療所が閉所するため、同地区から医療機関もなくなる見通し。今月13日に閉会した市議会定例会では多くの市議がこの問題への対応を市に迫った。市は日本製紙側から詳細な方針が示されていないことを挙げ、当面は地域の意向把握と庁内で横断的な情報共有を図り、対応を検討する考えとしている。

 ■唯一の診療所が閉鎖

 勇払は市の南東に位置し、明治期に開拓使の出張所が置かれるなど歴史あるエリアだ。港に近い立地条件から製造業関連の工場が多く、まちの経済発展を支えてきた。近年は過疎化と高齢化が進み、2018年12月末時点の人口は1900人台で65歳以上が占める高齢化率は39.03%。市の全体平均より10ポイント以上高い。

 その地域を支えてきた日本製紙は昨年5月、勇払事業所の洋紙生産ラインを20年1月末で停止することを公表した。23年1月から主事業を木質バイオマス発電に切り替える計画で、約290人の正社員は白老や旭川などの別工場に配置転換する。勇払診療所は1943年に開所。勇払地区の医療機関として従業員や家族、地域住民に利用され、最近の受診者数は1日当たり平均10人程度。月間200人前後が利用しているという。

 勇払自治会の萬誠会長は「地元に密着した診療所なので残念。市には(市内東部や中心部の)医療機関を受診しやすいよう、バスの増便などを求めたい」と話す。

 ■市も全庁的な対応検討へ

 9月の市議会定例会では、多くの市議が一般質問で勇払地区の問題について取り上げた。診療所閉所後の対応や路線バスなど公共交通、地域活性化策など多様な分野にわたった。

 日本製紙はバイオマス事業に転換する以外に新規事業を検討中。市は動向を注視しつつ、居住者減少で学校や商店、公共施設などに影響が出ると判断。今後の対応では地域住民の意向を踏まえ、関係機関と連携しながら全庁的な検討を進める考えで、福原功副市長は「日本製紙の行方も見なければいけない。市も庁内で組織横断で検討できる場をつくる」と強調した。また、苫小牧で生活を続けたいという社員などに対する支援も苫小牧商工会議所などと進めていく考えを示している。

 今後の対応は日本製紙が示す新規事業の方向性に大きく関わるが、同社広報担当は「現在検討中」との回答にとどめており、市も当面は見守る構え。人口減に伴う環境変化は今後も各地域で出てくるとみられ、行政には将来を見据えた対応が求められそうだ。

(報道部 伊藤真史、河村俊之)

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