保育、幼児教育の無償化 来月スタート 保護者は歓迎施設側困惑 事務負担、ニーズ対応…態勢整わず

保育、幼児教育の無償化 来月スタート 保護者は歓迎施設側困惑 事務負担、ニーズ対応…態勢整わず
10月に3歳児以上の保育料無償化が始まる保育現場

 国の子育て支援策の一環で10月1日、3歳以上の子どもの保育や幼児教育が無償化される。苫小牧市内の保護者からは「経済的な負担が軽減される」などと歓迎の声が上がる一方で、保育園や幼稚園側は新たに発生する事務作業や保護者ニーズの変化に十分に対応できる態勢が整っておらず、関係者に困惑が広がる。

 国は10月から幼稚園、保育施設、認定こども園に通う全3~5歳児の利用料を無償化。自治体に保育の必要性を認められた場合、幼稚園の預かり保育や認可外保育施設などの利用料金も上限額まで補助される。

 保育料は、自治体ごとに世帯の所得などに応じて設定。苫小牧では3~5歳児(標準時間・基準額)の保育料は月7500円~3万5000円程度。1歳と5歳の娘2人を市内の認可保育園に預けている澄川町の女性(36)は「子どもが2人いるとお金が掛かり、保育料が無償になるのは本当にありがたい」と喜ぶ。これまで支払っていた保育料分を学資保険や貯蓄など将来の備えに回す考えという。

 一方、認可保育園側は無償化を手放しで喜べない。認可保育園の保育料はこれまで市がまとめて徴収してきたが、副食費(おかずやおやつ代)は無償化の対象から外れ、10月以降は各園が親から直接集金しなければならないためだ。

 市内で複数の認可保育園を運営している社会福祉法人は「保育園には保護者とお金をやりとりする経験がまったくないため、現場の保育士はお金を扱うことへの不安でいっぱい」と打ち明ける。保育現場で現金を扱う場合、集金や金額の確認、保管、口座への入金、滞納者への督促など保育士の業務量が増えることから、同法人は保護者に口座振替の利用を勧めることにしている。

 副食費をめぐっては、私立を含む市内18の認可保育園で1人当たり一律月額4500円とする方針だが、実際に掛かっている食材費には足りず、赤字が生じる可能性も出ている。市法人保育園協議会の遠藤明代会長は「4500円以内に食材費を収められる園は少ない。多くの園で(毎月)700~800円ほどの赤字が発生し、運営を圧迫する」と指摘する。

 幼稚園では、無償化に伴う人手不足を懸念。各園で幼児教育時間外の預かり保育の利用が10月以降に急増する見込みだが、園側は教員、保育士の確保に頭を悩ませている。

 市内中心部にある幼稚園の園長は「預けたいと考える人は増えるだろうが、現場の人員確保の面からも、すべてのニーズには応えられない」とため息。「無償化で助かる親はたくさんいるだろうが、それに対応した幼稚園、保育園側の態勢整備は不十分。国や市には次の手立てをしっかりと講じてもらいたい」と訴える。

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る