苫小牧市しらかば町3のラーメン店、味の一龍が29日、35年の歴史に幕を閉じる。分厚く柔らかい、巨大な肉が乗ったラーメン「ジャンボチャーシュー」などが評判となり、道内外にファンを抱える有名店。店主の浅野憲治さん(71)と店を切り盛りする妻のシズ子さん(69)は「体力的に厳しくなり閉店するが、長年にわたる地域の人たちの支えに感謝している」と口をそろえる。
憲治さんは、旧穂別町(現むかわ町穂別地区)生まれで平取町の旧振内高校を卒業し、陸上自衛隊に入隊。東千歳駐屯地で2年ほど勤務した後、除隊し旧穂別町の農協職員になった。「ラーメンは食べるのも作るのも好き」で休日には穂別、鵡川、苫小牧、札幌などの店に通いラーメンを堪能。時には家で自ら調理し、好みの味を楽しんだ。
そんなラーメン愛は強まるばかりで1985年4月、農協を退職。苫小牧に転居し、現在の場所で「味の一龍」をオープンさせた。「当時、苫小牧は製紙工場と港のおかげで景気がよく活気があった。ここでなら店が成り立つと決断した」と振り返る。
シズ子さんと、二人三脚での再出発。店は無事オープンにこぎ着けたがラーメン作りは苦労の連続だった。「それ以前にも趣味で作ってはいたが専門店で修業しておらず、ぶっつけ本番での開業だった」と懐かしがる。
試作しては近隣住民に味見してもらい、腕を磨いた。開店当初のメニューはみそ、塩、しょうゆラーメン、中華丼、チャーハンの5品。味や来店客を喜ばせるサービスを追求する中、現在は焼きそば、カレー、チャーハン、定食、ギョーザ、豚丼などを含める85品に上る。ラーメンは「地獄」「赤池」など激辛メニューも売りの一つにしてきた。
名物のジャンボチャーシューは、20年ほど前に誕生。1枚約200グラムのチャーシューが4枚乗る。豚肉を4日間ほど煮たり、冷ましたりを繰り返して仕上げる特製品。あまりの大きさに食べきれずに持ち帰る人も多い。1杯1380円(税込み)だがテレビや雑誌でも紹介され、根強い人気を集めてきた。
地域貢献も重視。敬老の日に合わせ、町内の75歳以上の高齢者に無料でラーメンを提供するサービスを創業以来、35回続けた。しらかば西町内会の吉野武彦会長(74)は「長年、高齢者のためにサービスしてもらえありがたかった。閉店はとても寂しい」と話す。
憲治さんの温かい人柄とユニークなメニューで多くの市民に「とても落ち着く店」「ボリュームがあってコストパフォーマンスも最高」などと親しまれ続けているが、惜しまれながら閉店。憲治さんは「足腰が元気なうちに店を閉め、妻と2人で旅行にでも行きたい」と笑顔を見せた。
最終日29日の営業は、午後3時まで。
















