苫小牧市が民間企業や教育機関、市民団体などとの連携協定締結を拡大させている。2018年度までに福祉、防犯・防災、地域活性化など多様な分野で240件を超える協定を結んだ。人口減少と少子高齢化が同時進行する新たな時代を見据えた協働のまちづくりに着目したもので、企業側も社会的責任を担う視点から前向きな姿勢。市は今後も同様の取り組みを進める考えで、官民を挙げた動きが加速しそうだ。
■人口減少時代に危機感
今月20日、苫小牧市役所で室蘭工業大学と苫小牧市の連携協定の締結式が行われた。ものづくりの協力関係を主軸にしつつ、まちづくり全般にも意識し、人材や学術面の相互協力も深める内容だ。両者の協力関係はこれまでもあり、市審議会委員への大学教員派遣や、大学で開いた就職説明会に市内の自動車関連企業の関係者を迎えるなど、多様な形で進められてきた。
締結式の中で岩倉博文市長は、人口減少と少子高齢化が進む現状に危機感を示し「時代の転換期を迎える中で協定締結に向けた機が熟した」と語り、専門的な知見をまちづくりに生かす考えを強調した。
同大学の空閑良壽(くが・よしかず)学長も近年の大学経営で地域貢献を重視する流れに触れ、「確かな研究力に基づく教育力がセールスポイント。北海道の将来にも貢献したい」と力強く語った。
■増える連携協定
連携協定をめぐり、市は18年2月に指針を策定した。協定締結の手続きや役割を明文化した上で、市からの要求に偏らないよう「協働」を重視する内容にまとめている。さらに、これまでの市担当課と企業・団体間のみで進めていた個別協議を改め、協働・男女平等参画室も関わるような体制とし、他部署にも全容が分かるような仕組みに変えた。
この指針を踏まえて情報共有を図った結果、市が締結している連携協定は第1号の公害防止協定(1976年締結)をはじめ、レジ袋削減、高齢者の見守り活動、災害時応援、空き家対策など多岐にわたることが分かった。
また、おおむね四つ以上の事業・分野で相互協力を進める「包括連携」は、18年度が苫小牧駒沢大学から経営移管された京都育英館と、さらに新規2件を加えた3件。全体では6件となっている。個別連携も同年度の1年間だけで防災など15件が増え、全体では235件となっている。
今年度もさらに締結数を伸ばしており、室工大をはじめ▽フィットネスジム(健康増進分野)▽道外NPO法人および岡山県総社市との3者協定(災害時応援)▽自動車販売会社(災害時の電源確保に対応する車両提供)▽生命保険会社(健康管理や防犯・防災・交通安全)―など各分野で10件近くに迫る。
多様化する地域課題を行政単独で解決することが難しい時代を迎える中、苫小牧市はそれぞれの強みを生かせるパートナーシップの重要性は今後も高まるとみる。
担当者は「互いの立場を尊重し、対等関係で共通の目的を達成するため、協力しながら事業を展開したい」としている。
















