記者コラム 風 「品格」

 目を疑った。柔道大会取材での出来事。会場内にひときわ青く、がっしりとした脚を持つ立派な机があった。正体はすぐに判明した。卓球台だ。

 2人ないし4人が直径40ミリのプラスチック製ボールで激しいラリーを繰り広げるはずの台上に、所狭しと置かれたのはプリンター、ノートパソコン、大量の資料にペットボトル。大会事務局の席なのだろうか。関係者らはごく自然に使用している様子だった。

 「そんなこと聞いたことがない」「許せない」。事実を聞いた卓球関係者らは憤った。言わずもがな、木製の卓球台表面は非常にデリケート。少しの衝撃でへこみや傷が付き、ボールの軌道に影響を与える。台中央に設置するネットを張る際も、細心の注意を払いながら作業するという。

 全日本柔道連盟は、2010年にルネッサンス宣言と題した4項目からなる宣言文を出している。項には「指導者自らが襟を正し、己を完成し、世を補益することを実践します」「美しい礼、正しいマナーで、品格のある柔道人になり、育てます」などとある。柔道の畳を他競技が敷物代わりに使用していたら、どう思うか。柔道の父嘉納治五郎は、きっと泣いている。(北)

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る