カジノを含む統合型リゾート施設(IR)をめぐり、苫小牧で誘致に向けた動きが活発化している。国が9月にIR整備法の基本方針案をまとめたことで、全国的な誘致競争が表面化。申請主体となる北海道の鈴木直道知事が今月2日、年内に誘致の是非判断をすると明言したこともその要因の一つだ。誘致に前向きな苫小牧市は岩倉博文市長が9月に道議会議員、今月には上京して国会議員にIR誘致の要望活動を実施。苫小牧市議有志からもIR推進の要望書を受け取っている。一方、活発化する誘致活動に市議からは「前のめりでは」と懸念する声も聞こえる。
■市の要望活動が加速
9月19日。岩倉市長は道議会を訪れ、自民党・道民会議と公明党議員団の各会派に要望書を提出。知事が誘致判断を早期に行うよう道議会に協力を求めた。今月2日には地元経済界の関係者と共に東京に出向き、超党派でつくるIR議員連盟の国会議員らへの要望活動にも奔走。都市型と地方型に分けたIR展開を挙げ、認定審査で「地方創生の視点も十分に評価」するよう地方型への配慮を求めた。
誘致の是非を検討していた道も、今月2日の道議会・予算特別委員会で動きが変わった。自民党・道民会議の道議が早期決断を迫ったところ、鈴木知事が「年内に判断する」と初めて時期を表明。IR議論は年末に向けて加速する様相で、北海道進出を狙う海外IR事業者もこれまで控えていたPR活動を再開させる見通しだ。
■市議会の動きに注目
道内のIR誘致の優先候補地とされる苫小牧では、市議会に対する動きが注目されている。
今月4日、全市議(定数28)の6割近い16人が署名したIR誘致推進を求める要望書が岩倉市長に提出された。市を側面から支援する意味合いを含めたもので、文書には市民に正しい情報提供を進め、理解を得る重要性を明記。市議からは国内で加速するIR誘致レースへの遅れを懸念し、「(道の遅れを)挽回してほしい」と訴える声もあった。
以前からIR誘致の必要性を訴えている岩倉市長は「私としても心強い」と感謝の意を示し、7日には市長自ら道庁を訪問。土屋俊亮副知事と非公開で会談し、市議有志の要望内容なども伝えた。
都道府県がIR誘致を申請する場合、立地自治体の同意も必要。苫小牧市は市議会の議決で同意の是非を決める考えだが、今回の要望書提出は16人の市議が誘致推進の立場で名を連ねており、市側の受け入れ環境が整っていることを間接的に道にアピールした格好とも言える。
■不安視する市議も
複数の市議は、IRの収益の柱がカジノであることや、ギャンブル依存症および治安悪化に対する不安が払拭(ふっしょく)されない中での市の動きに対し「誘致ありきで前のめりだ」と批判。態度を保留中の市議も「道がまだ誘致の是非を表明していない段階で、市が前面に出過ぎると責任を問われかねない」と懸念する。
市は今月中旬から、無作為抽出した20代以上の市民2500人対象にアンケートを実施。IRを含む市の国際リゾート構想を説明して理解浸透を図りながら、不安度や期待値などを探る予定だ。
市は現在、12月の議会定例会でIR誘致に向けた次の段階となり得るIR関連の補正予算案計上を模索中。複数の市議は「IRをめぐる一つの山場になりそうだ」としている。
















