28日に招集の苫小牧市議会臨時会 IR誘致推進の決議案提案か

28日に招集の苫小牧市議会臨時会 IR誘致推進の決議案提案か

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致をめぐって、優先候補地の苫小牧市が28日に招集する市議会臨時会が重要な節目になりそうだ。市がIR候補予定地などの環境調査に係る2019年度一般会計補正予算案を議案で提出する他、誘致推進の決議案が議員提案される可能性が濃厚で、市議によるIRの是非が明確に問われる機会になるためだ。背景にはIR申請主体の道に早期の誘致表明を迫る思惑も見え隠れする。一方で民意を置き去りにしていないのか―との反発も市議の間でくすぶっている。

 ■IR誘致推進へ決議案模索

 「本当に、そこまでやるのか」―。市からの臨時会招集の打診があった今月10日。岩倉博文市長を支持する与党系最大会派「新緑」が中心となり、IR誘致推進の決議案提出を探っている―という動きに市議の一人が思わず驚きの言葉を発した。

 決議は議会の意思表明を対外的に示す意味合いが強い。賛成多数でも可決するが、苫小牧市議会は議会運営の内規で満場一致が原則。今年度は米国の臨界前核実験実施への抗議など4件の決議をしたが、いずれも全員が賛成した。ただ、今回の決議案はIR誘致推進を促す内容が想定され、賛否が割れる公算が大きい。

 今月4日、市議会(定数28)の有志が岩倉博文市長に託した誘致推進の要望書に署名した市議は16人で、全体の6割弱を占める。賛成派の市議は「道の誘致判断の後押しになるなら、やっておきたい」と決議に前向き。一方、反対派の市議は、市が独自に市民のIR理解度調査を実施していることを挙げ「議会の結論をなぜ、こんなに急ぐのか」と疑問視する。

 ■申請主体の道の意向か

 IRを国に申請できるのは法律上、都道府県と政令指定都市に限られる。このため、苫小牧市は早い段階から独自に調査検討や市民説明会を進め、道に早期の誘致判断を迫ってきた経過がある。その中で国は今年9月、IR整備に係る基本方針案を公表。誘致表明をする地域の取り組みが一気に加速し、道内の経済関係者から誘致レースへ加わるには「もう時間がない」と焦りの動きも出ている。

 こうした事情も踏まえ、岩倉市長は7日に道庁を訪れ、市議有志の要望内容を幹部に伝達。道側からは、議会決議を求める意向が示唆されたと見られる。鈴木直道知事はこの事実を否定したが、苫小牧ではその後、誘致に向けた動きが加速している。

 IR関連の予算付けは当初、12月定例会への議案提出が一つの節目になると想定された。それだけに臨時会開催は唐突さが際立つ。市議会で誘致推進が決議されれば、年内判断を表明した鈴木知事に対する大きな後ろ盾になることはほぼ間違いない。臨時会には高い確率で決議案が提出される見込みだが、ポイントになるのはその内容。どこまで踏み込むかで今後の議会議論に影響する可能性もある。

 今回の道の一連の対応に不信感を抱く市議もいる。IRの是非を検討している市議は「北海道全体に関わる大事業で北海道の覚悟が問われるはず。道の誘致判断で、市議会の決議が先に必要というのは疑問だ」と指摘する。

 新たな展開を迎えたIRの議論。進め方次第で賛成派、反対派の溝を深める懸念も出ている。

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