どうなるIR誘致 道民目線と本道の将来視点に 鈴木知事が年内決断へ

「誘致に挑戦するか。挑戦しないか。年内に判断する」と明言した鈴木知事(中央)=今月2日、道議会予算特別委

 道内世論を二分するカジノを含む統合型リゾート施設(IR)をめぐる本道誘致の是非判断が、最終段階を迎えている。鈴木直道知事が今月2日の定例道議会で、年内に判断することを明言したためだ。道政史上最長の4期16年務めた高橋はるみ前道政が結論を先送りし、鈴木道政に引き継がれた難問。道では現在、地域説明会や道民の意向調査を進めており、知事の政治決断の時期は早ければ、これらが終了する11月下旬との観測も流れている。

 ■ヤマ場へ

 4日に閉会した第3回定例道議会では▽優先候補地となる苫小牧市植苗地区の環境対策・インフラ整備の手法▽ギャンブル依存症対策▽道民の意向把握の手法▽知事の誘致是非の判断時期―に与野党の質問が集中した。

 最大の焦点となったのが、誘致の判断時期。鈴木知事は会期前半の代表質問では「他の自治体や国の動向をしっかり見極め、適切に判断していく」と、なお流動的であることを示唆していたが、会期後半の予算特別委で姿勢を転換。与党の自民党・道民会議の議員から「政治家・鈴木直道として、きちっと判断の時期ぐらいは明確にすべきだ」と迫られたからだ。

 知事は「誘致に挑戦するのか。挑戦しないのか。年内に判断する」と初めて時期を明言。「国の動きを勘案すると、IRの基本方針の決定は、法で定める期限の来年7月よりも早まることが想定される。その後は本格的な区域認定の申請プロセスに移行される」と年内判断の理由を説明。知事が判断時期を年内に区切ったことで、こう着状態が続いていたIR問題は一気にヤマ場を迎える。

 ■道民目線

 「経済効果をはじめとするプラス面、社会的影響のマイナス面を総合的に勘案し、道がまとめた『基本的な考え方』をベースに、『道民目線』を大切にし早期に判断する」

 今春の知事選でIRに関しては公約にこう掲げ、カジノ誘致反対の旗幟(きし)を鮮明にした野党統一候補の石川知裕元衆院議員との一騎打ちを制した鈴木知事。重視するのは「道民目線」だ。

 一部報道機関の調査では反対が賛成を上回るが、道では「IRをよく理解していない人が多い」(鈴木知事)と判断。9月から住民基本台帳に基づき無作為抽出した道民2500人を対象に、「グループインタビュー」(道がIRの利点と課題を説明した後にアンケート調査を実施)方式による意向調査を開始。11月下旬まで続く。

 さらに2018年度に続き、IRに関する地域説明会も9日の札幌を皮切りにスタート。優先候補地の苫小牧で23日に開くほか、25日の釧路まで道内5市で開催する。初回の札幌会場には約110人が出席し、反社会的勢力対策など幅広い質問が出た。道では地域説明会の出席者に対しても、IR誘致に期待するか、不安はあるかなどを問うアンケート調査を実施している。

 ■政治判断

 道ではグループインタビュー、地域説明会のほか、道内滞在中の留学生など外国人へのヒアリングを開始しているほか、各種団体からの要望も「道民目線」の参考材料とする考え。21日には北海道経済連合会、北海道商工会議所連合会など道内経済4団体が誘致を促す「緊急共同宣言」を札幌で発表し、態度を保留する知事の背中を押す構え。一方、7月には優先候補地がラムサール条約登録湿地・ウトナイ湖の上流に位置することを重視し、北海道自然保護協会が誘致反対の要望書を知事に提出している。

 知事は11日に開いた定例会見で、年内判断についてこう語った。「懸念される諸課題について一定の整理を行いながら、北海道の将来にとって何が大切なのかという視点に立って判断する」

 一方、道議の一人は「誘致を表明しても、断念しても双方から批判が出る。厳しい政治判断になる」とつぶやく。23日で就任から丸6カ月となる38歳の青年知事が、道政運営の正念場を迎えている。

   (札幌支社・広江渡)

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