苫小牧市は2020年度、1000年に1度クラスの大雨を想定した洪水ハザードマップを作成する。国や道がまとめた洪水想定に基づき、市内での最大の水害リスクを市民に認識してもらうのが狙い。ただ、新たな洪水想定は一部河川に限定されており、実際の状況を十分に反映できているとは言い難く、活用や周知の仕方などについては慎重に検討していく考えだ。
15年の関東・東北豪雨を踏まえ、国や都道府県はそれぞれが管理する洪水予報河川、水位周知河川に指定した河川で、洪水浸水想定区域図の「最大規模」を新設。想定を従来の100年に1度程度の降雨から1000年に1度程度に広げ、見直しを終えた区域から国土交通省のホームページで公表している。近年、全国で広域災害が頻発する中、大規模水害の備えは喫緊の課題となっている。
苫小牧市内の対象は3河川。18年に勇払川、安平川、19年に苫小牧川で新たな区域図が示された。安平川、勇払川については従来、浸水区域がおおむねウトナイ、勇払、沼ノ端などの地区にとどまっていたが、新たな区域図では西部は明野新町など幌内川周辺まで浸水する想定に。苫小牧川の浸水区域はさほど変わらないが、深さ0・5メートル未満が同0・5~3メートルに拡大したエリアが点在する。
市は新たな区域図がまとまったことを受け、20年度事業で新たなハザードマップを作る方針。従来マップは09年度に作成した50年に1度程度の降雨の想定だが、市危機管理室は「市民の命を守るため、想定外を生まない視点が大事」と強調する。
市内での1000年に1度程度の降雨については、438ミリを記録した1950年の大規模水害が参考事例。同室は「市民に水害リスクの高さを知ってもらうため、新たなマップを作り、活用したい」と話す。
一方、市内には2級河川、普通河川、準用河川が計43河川あるが、新たな洪水想定は3河川のみ。同室は「1000年に一度程度の降雨であれば、市内全域への影響が考えられるが、言わば一部分を切り取ったマップ」と指摘。「3河川以外の洪水想定はなく、どういう形でハザードマップを作るかは検討が必要」と説明する。
そもそも市が従来マップの想定を50年に1度程度としてきた理由の一つは、中・高頻度の災害に備えるため、マップを通して避難経路などを周知する狙いがあった。「市内全域の水没」を想定した場合、垂直避難や域外避難しかなくなるため、同室は「周知や活用に当たっては慎重であるべき。市民の安全を守るためにどうすべきか十分に検討したい」としている。
















