苫小牧市が掲げるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を盛り込んだ国際リゾート構想をめぐり、市民への説明が進んでいない。市が今月中旬に行った市民理解度を探る対話形式の調査(理解度調査)に参加した市民の多くは、本紙の取材に「理解が深まった」と述べたが、一方でこうした機会がないと理解が広がらないという現実もある。IR誘致を国に申請する北海道は誘致判断を年内に行うが、優先候補地の苫小牧では理解が不十分な中で賛否が割れており、市には丁寧な情報発信と市民説明の機会づくりが求められている。
市は、道の「グループインタビュー」の手法を参考に、無作為抽出した20歳以上の市民2500人に案内文を送付。15日から計6日間、同構想の概要や質疑応答、アンケートを実施した。呼び掛けに対し参加した市民は約50人。「安心して対話できる場の確保」という観点から当初4日間は完全非公開で開催。19、20日の2日のみ最初の構想説明部分を報道陣に公開した。
理解度調査に参加した市民のうち8人が本紙取材に応じ、60代の女性は参加した理由について「市民の思いを聞いてほしかった」と率直な思いをぶつけた。この女性が強い関心を持っているのはJR苫小牧駅前周辺の現状。「市民生活に関わる問題が解決していないのにリゾート開発なんて順序が逆。だからIRは反対」と話したが、IRなどで得た税収を生かして中心街活性化などのまちづくりを進めるという市の説明に「しょうがないと思えた」と気持ちの変化を口にした。
飲食店経営者の40代男性は「利益が出るなら建てた方がよい」とIR賛成の立場だが、市の説明に「もっと具体的な話が聞けると思っていたのに」と物足りなさを感じた様子で話した。
IRをめぐっては申請主体の道が態度を保留し、国のIR整備法に基づく基本方針も検討中。市民から具体的な質問が出ても、市側は明確に回答できないという悩ましい事情もある。理解度調査を担当した市職員は「現時点で分かっていないことは、分からないと説明した」と語った。
調査では少人数のグループで市民の質問を市職員が回答。約1時間をかけて対応したことで「直接対話できてよい機会になった」(50代女性)と答える市民も。一方で、「自分の気持ちは変わらなかったが、中身をより詳しく理解できた。もっと多くの人が参加できる工夫を」(60代男性)など、多くの参加者から対話形式の説明を今後も続けてほしいという声が上がった。
市は参加者アンケートでIRの賛否を問わず、経済・雇用などへの期待度や自然環境、ギャンブル依存症といった不安度の項目を盛り込んでおり、集計した上で今後の取り組みにも生かす方針。
岩倉博文市長は、今月21日の記者会見で市民との対話による調査を「市民に理解してもらうための有効な手法の一つ」と強調。仮に道が誘致表明した場合、IRの事業モデルも具体化するとし「それからの説明の方が、きめ細かく時間をかけてやっていかなければいけない」と話している。
















