苫小牧の渡部恒治さん、切り絵作って3000点 紙のまち文化発展願い

苫小牧の渡部恒治さん、切り絵作って3000点 紙のまち文化発展願い
3000点目の切り絵作品(右)を手に制作を振り返る渡部さん

 苫小牧市三光町の渡部恒治さん(86)が、定年退職後の四半世紀で制作した切り絵作品が累計3000点に達した。「紙のまち苫小牧」の文化発展の一助に―と祭りや仏像などを独自の構図で表現してきた。渡部さんは「これほど多く作るとは思わなかった。今後も体力が続く限り制作を続けたい」と語る。

 函館市出身の渡部さんは、小中学校の教諭として胆振管内の学校で教壇に立ち、苫小牧啓北中の校長だった1993年、38年間の教員生活に幕を下ろした。

 苫小牧市は大きな製紙工場を抱え、紙のまちとして発展してきた都市。定年後に再就職した市教育委員会で生涯学習担当者の「苫小牧の紙の文化をもっと広めたい」という熱意に共感し、大学時代から油彩画制作など美術に親しんできた渡部さんは60歳の時、紙の絵である切り絵を制作、発表していくことを決めた。

 作品の多くは、画用紙の四つ切り(39・2センチ×54・2センチ)サイズ。赤い画用紙に下絵を描いて墨を塗って黒くし、カッターで切り抜いていく。台紙と切り絵の間に和紙や包装紙、新聞、広告チラシなどを貼ったりする独自の手法で繊細に仕上げる。

 ちぎり絵の技法を用いたり、厚紙を貼って立体感を出すなどして躍動感も演出。「1点完成させるのに3日から10日ほど必要」(渡部さん)で毎日6時間ほど自宅内のアトリエで、制作に専念している。

 「生きる」をメインテーマに祭りで踊る人の姿や仏画などを多く手掛け、動植物や樽前山をはじめとする苫小牧市内の風景も表現。市内での紙の作品展や菩提寺である不動寺(伊達市)などで発表してきた。

 99年8月に1000点、2006年10月に2000点に到達。3000点目は龍をモチーフにした4連作の一つ、「昇り龍」(72・7センチ×60・6センチ)で今月2日に作り始め、15日に完成した。12月1日から31日まで、市内表町のファッションメールプラザで開く個展「蔵町開運龍」で発表予定という。

 「紙を使った美術にチャレンジしたいと思う人が1人でも出てくれたらうれしい」と渡部さん。今後については「人間の表情や躍動感をさらに追究したい。どんなモチーフがよいか探しているところ」とほほ笑んだ。

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