外国人の救急搬送増加受け 苫消防本部 翻訳アプリ導入検討 多言語対応に課題 東京五輪控え

外国人の救急搬送増加受け 苫消防本部 翻訳アプリ導入検討 多言語対応に課題 東京五輪控え
救急隊員が通訳で用いる処置カード。外国人対応は現時点ではまだアナログ

 苫小牧市消防本部は救急隊に、多言語音声翻訳アプリの導入を検討している。道内でのインバウンド(訪日外国人旅行者)増加に合わせ、市内でも外国人の救急搬送が増えているためだ。これまでに通訳できないことによる処置の遅れなどは発生していないが、2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、翻訳ニーズはさらに高まりそうで、同本部は「外国人対応は大きな課題。本格的に検討している」と言う。

 同本部によると、市内の外国人救急搬送は16年、17年は10人ずつだったが、18年は18人とほぼ倍増。18年の国・地域別内訳は、中国と韓国が5人ずつ、台湾とカナダが各2人、ベトナム、香港、カタール、イギリスが1人ずつだった。19年も14日現在15人で、市消防署救急課は「旅行中や留学中の救急搬送が増えている」と話す。

 同本部は外国人救急搬送対策としてこれまで、英語や中国語、韓国語など5カ国語に対応した「処置カード」を救急車内に用意。日本語が通じない外国人に対し、頭痛などの症状、測定などの対応を図柄化したカードを示し、コミュニケーションを図ってきた。このため通訳できないことによる処置の遅れなど、重大事案に発展したケースはないという。

 一方で既往歴をはじめ、住所、名前、年齢などの聴取がままならないケースもあったとし、同課は「引き渡した病院に迷惑を掛けたこともあったと思う」と回顧。「過去に命を救えない不幸な事例はなかったが、本来は「5W、1H」(誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように)を聴き取るのが基本。それには多言語をヒアリング、リスニングできる体制が不可欠という。

 導入を検討しているアプリは、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が開発した「ボイストラ」。17年から消防庁が全国各地の消防に導入を促している。スマートフォンやタブレットで利用可能で、主要15言語に対応できる。

 近隣では、千歳市が18年度に防衛省補助を活用して導入済み。同本部も「五輪・パラリンピックに向けてインバウンドの増加が予想され、多言語対応はますます重要になる」とし、導入に向けた関係機関との調整を急ぐ。

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