記者コラム風 被害者の視点

 先日、インターネット上で配信されている虐待体験VR(バーチャルリアリティー)動画を試聴した。横浜市の映像制作会社「WEST&CO.」が制作した児童虐待の啓発動画で、実際の虐待事案を基に構成。子どもの視点から撮影され、視聴者はあたかも自分が暴力被害を受けているかのような感覚に陥る。

 動画は自宅内の三つの場面で成り立っている。父親が子どもの体にたばこの火を押し付けたり、母親が金切り声を上げて子どもを追い詰めたりと、凄惨(せいさん)な場面が再現されている。

 国内では子どもが犠牲となる児童虐待事件が多発。札幌でも今年6月、当時2歳の女児が母親とその交際相手から暴力を受けた末に衰弱死した事件が発生。このケースでは、道警や市民から虐待を疑う通告を受けた札幌児童相談所側の安否確認が不十分だったため、最悪の事態を防ぐことができなかったことが問題視されている。

 VR動画は虐待被害のごくわずかな場面を切り取っただけだが、それでも十分なほど恐怖を感じる。子どもに関わるすべての大人には、暴力に対する感覚を鈍らせることなく、子どもの視点で児童虐待問題を考えてもらいたい。(百)

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