11月29日にIR(カジノを含む統合型リゾート施設)の誘致見送りを表明した鈴木直道知事と、優先候補地・苫小牧市の岩倉博文市長との初の会談が23日、道庁で行われた。最大の課題とされていたギャンブル依存症ではなく、自然環境問題を重視した今回の道の判断については「なぜ早く相談してくれなかったのか」と岩倉市長が疑問視。道と市の実務者レベルでの連携不足も露呈した。報道陣公開で行った知事と市長の会談要旨を紹介する。
岩倉博文市長 非常に残念 事業者のケア必要
非常に残念な思いで、知事の誘致見送り表明を聞かせてもらった。苫小牧市は1973年、われわれの先輩が目指すべき都市像として「人間環境都市」として定めている街です。環境という概念は当時と変わってきているかもしれないが、今日も環境を重視してまちづくりにチャレンジしている。美々川、ウトナイ湖を擁して、巨大な新千歳空港に隣接する植苗・美沢地区ということで、環境影響評価に対して十分注意を払いながら、準備を進めてきたつもりだ。そして道条例に触れない開発面積50ヘクタール以下を前提に、道庁と作業を進めてきた。
しかし、突然のように終盤で条例や環境アセスについての考えを道が示された。われわれも驚きながら、推移を見守ってきた。考えを示した時期とか、タイミングとか。知事、大変申し訳ないが、「道庁らしいな」と思ったのが実感でした。
IRは資金調達をして投資するのは民間です。せっかくこの北の大地に魅力を感じ、事業をしようとする民間の皆さんを大事にしていかなければならない。民間の投資をいかに誘発できるかというのは、これからの時代、行政として非常に重要なポイントになると思っている。その時代認識を共有していただきたい。せっかく意欲を持って投資しようという事業者が複数いたわけです。そのケアも必要ではないか。
(知事が再挑戦に意欲を示していることについては)正直いって、(今回の認定から)7年後になり、今、投資意欲を持っている企業は多分、無理だ。私自身、5~6年間、事業者とお付き合いさせてもらって、そう感じている。
環境についてですが、道庁の方で条例改正でもするおつもりがあるのか。さまざまな学術的な調査も含めて今の条例があるのだと思う。
(自然環境を重視した)判断についても、もう少し早く市と協議すべきだ。あまりにもぎりぎりのタイミングでの判断。今後も民間が絡んだプロジェクトについては、民間の事情もある。道庁が資金調達してやるプロジェクトとは別ということを認識すべきだ。
鈴木直道知事 環境への配慮不透明 挑戦継続
苫小牧市では早くから岩倉市長を先頭に、市職員、地元経済界が一体となってIR誘致へ向けて取り組みを進めてこられた。改めて敬意を表したい。今回の判断については熟慮に熟慮を重ねた。判断の背景に至ったのは大きく3点ある。優先候補地・苫小牧市植苗地区は、希少な動植物の生息が確認され、環境影響評価(アセスメント)に3年程度かかり、自然環境への配慮が不透明なまま国に申請しなければならない―などだ。
ただ、人口減少が進み、地域経済の先細りが懸念される中、IRは交流人口の拡大、民間投資の呼び水になるなど本道経済の活性化に幅広い効果がある。本道のピンチをチャンスに変える大きな原動力になると考えている。今後とも苫小牧市とは情報の共有をしっかり図らせてもらい、北海道らしいIRの実現に向けて鋭意取り組んでいきたい。
IRは民間の力を生かした地域活性化の大きな力になり得ると認識している。今回、(苫小牧に)関心を持っていただいた企業へのフォローについては、現状について丁寧に説明して理解を頂き、今後も関心を持ち続けてもらうために、汗を流していく。
環境アセスについては、開発面積が50ヘクタール未満は道条例の対象外だが、別の道の生物多様性保全条例では、道の責務として自ら率先して、生物の多様性の保全及び持続可能な取り組みを行うよう努めることになっている。この点を理解いただきたい。
今回は申請を見送ったが、今後はぜひ挑戦させていただきたいと表明した。IRの大きな可能性については、私も非常に期待がある。そのために、どのような課題を乗り越えていけばいいのかという段階で、また、苫小牧市とお話をさせていただくことになる。市長からこれまでの(道と市との)連携、情報交換に不十分さがあったのではないかという指摘があったが、われわれもしっかり受け止め、今後、さらに緊密に連携させていただき、前に向かって進んでいければと思う。実務者レベルでの情報共有も、これからは新たなレベルでの取り組みが必要かなと思う。



















