こんな話を聞いた。ある交通事故に遭った親子のうち、父親はその場で息を引き取ったが、息子は頭を強く打ち、意識不明の重体で病院に運ばれた。病院には幸い世界的に著名な脳外科医がおり、対応することになった。しかし、患者を目にしたこの医師は手を止めて、こんな言葉を口にしたという。「この子は私の息子です」と。どういうことなのだろうか―。
この話は、実は11月下旬に苫小牧市内で開かれたSDGsをテーマにした講演会で出されたクイズだ。SDGsは、国連が提唱する持続可能な開発目標のこと。貧困、教育、気候変動対策、ジェンダーの平等など17の達成目標を掲げている。
冒頭のクイズは、医師を母親と解釈できるかがポイント。「世界的に著名な脳外科医」の説明から男性と思い込むと、戸惑うことになる。講師の種明かしで会場から「そうか」などと納得する声が複数人から聞かれた。
十分な根拠なく、偏った判断や意見を持ってしまう危うさは誰もが抱えているのだろう。正直、私も戸惑った一人だ。
SDGsは「誰ひとり置き去りにしない」を合言葉に世界の変化を求めている。目標達成は不可能との偏見を持たないことから始めたい。(河)
















