苫小牧市内を中心に遺産相続の手続きが急増している。終活ブームを背景にセミナーや関連書籍などが増え、関心が高まっているためだ。苫小牧公証役場(表町)が今年受け付けた遺言公正証書の作成件数は2010年以降で最多の113件(12日現在)。金融機関でも家族の死去に伴う口座解約相談などが相次いでいる。専門家は早めの終活で相続に関する問題点などを整理するよう勧めている。
苫小牧公証役場によると、遺言公正証書は公証人が作成し、遺言者が亡くなった時点で法的効力を持つ。作成には一定の費用が掛かる。同役場の依頼受理件数は10年以降、70件台から90件台で推移していたが、今年は12月12日時点ですでに100件を超え、18年(76件)の実績を37件も上回っている。
同役場には東胆振1市4町のほか、千歳市や浦河町、えりも町からも「特定の人に財産を残したい」などの相談が寄せられる。佐藤隆公証人は「遺言公正証書は自分で書く自筆証書遺言よりトラブル防止につながる。役場に来られない人には出張して対応する」と話す。
今月2日にとましん相続センターを開設した苫小牧信用金庫本店(同)では、20日までのわずか3週間足らずで28件の相談を受けた。故人の子どもなどから口座解約の手続きに関する問い合わせがあるという。相談は無料で専任スタッフ1人、兼任スタッフ3人の計4人が内容ごとに必要な書類を説明するなど対応に当たる。
同金庫によると、顧客の死亡による口座解約や預金の払い出しなどの相談件数は年間約1000件。苫小牧のほか、日高町などからも寄せられ、相談は今後も増える見込み。担当者は「何度も来店しなくてもいいよう丁寧に対応していきたい」としている。
市の統計によると、市内の死亡者数は09年の1465人に対し、18年は1859人となっており、10年間で2割以上も増えている。この傾向からも相続相談は増える見通しにあり、専門家は早めの準備をアドバイスする。
16年に設立した終活アシスト協会(明野新町)は、セミナーで講演や死後の事務整理など行うほか、終活に関する相談も受け付ける。佐藤美幸代表理事は「セミナーは男性の参加が目立つようになった。夫婦で訪れるケースもある」と語る。遺言については「書いた後、誰が遺言を執行するのかが大事。遺言執行人を必ず付けた方がよい」と助言する。また、終活は自分を見詰め直し、死後に向けて何が必要か考えること、としており「年齢を問わず、気付いたら始めるべき」と述べた。
















