苫東で3年目の積雪環境の自動運転実証試験 一定の成果、来年度以降の研究継続を模索

自動運転で障害物を回避する実験車両

 自動運転車の冬道走行技術を開発している北海道大学大学院と民間企業6社の合同チームは21日から23日まで、苫小牧東部地域(苫東)で実証試験を行った。3カ年事業で始まり、最終シーズンを迎えた今年度はセンサーやカメラで路上の障害物を認識し、自動回避する技術開発を推進。同チームは「障害物をスムーズに避けるシステムの開発にはもう少し時間が必要。来年度以降も研究を続けられるように努力したい」と意気込みを語っている。

 「今から走ります」―。22日午後、苫東地域の林道内で待機しているメンバーに試験を始める無線連絡が入った。実験車両の運転手がサイドブレーキを解除すると、ゆっくり動き出す。積雪状態の林道をハンドルやペダル操作は一切せず、約1キロのコースを時速10~20キロの自動運転で周回を重ねた。

 「道幅があり、路上に障害物がない状態なら十分に自動運転できるまでに技術が向上した」。研究開発チームを主導する北大大学院工学研究院の江丸貴紀准教授が、これまでの研究成果に手応えを感じた様子で語った。

 自動運転技術の開発は世界の各研究グループがしのぎを削る。合同チームは経済産業省の補助金を活用し、2017年度からスタート。目印となる車道の白線や標識が見えない積雪下の環境でも、障害物などを回避しながら安全に自動走行できるシステム開発を進めている。

 オフロード型の実験車両上部には、障害物をレーザーで探知する距離センサーや熱検知システムで道路状況を把握するサーモカメラ、AI(人工知能)を融合させたカメラ、加速度センサー、GPS(全地球測位システム)などを搭載。今回の実証試験では、過去2シーズンの課題を踏まえ、センサーやカメラで得られた情報を総合的に判断し、安全な自動運転に導くシステムを新たに追加し、精度を検証した。

 22日の試験ではスタッフ4人が実験車両に乗車し、林道内でテスト走行を繰り返した。コースの途中に障害物や人形を置き、システムを微調整しながら自動回避性能を確認し、一定の成果が得られた。

 江丸准教授によると、障害物の認識はセンサーの種類によって異なるといい、「どの検知情報が正しいか瞬時に判断できるシステムの開発が不可欠。天候や環境が変化しても安全に自動走行できるように技術レベルをさらに高めたい」と語る。2月には芦別市のテストコースと士別市の市道でも走行試験を実施。さまざまな環境下の実験データを解析し、3月末までに経産省へ研究成果を報告する予定だ。

 苫東地域で自動運転の試験を行うメリットについて、江丸准教授は「札幌や新千歳空港から近く、コースの種類も豊富。雪が少ないので除雪するコストも省ける」と語る。

 国土交通省は昨年まとめた第3期苫東開発計画に自動走行の試験誘致を進める方針を反映。道や苫小牧市なども積極的に進めており、今回の実証試験の成果も踏まえた展開が注目される。

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