民族共生象徴空間(ウポポイ)の開業を控える白老町に29日、胆振管内の自治体の教育委員会職員が集まり、アイヌ文化を取り入れた社会教育の在り方を考える研修会(胆振管内教育委員会連絡協議会など主催)に臨んだ。参加者はアイヌ文様刺しゅうを体験したり、ウポポイ開設を見据えた白老町のボランティアガイド養成の取り組みを学んだりして、アイヌ民族への理解促進と多文化共生の実現を図る上での社会教育の可能性を探った。
研修会は、異なる民族や文化を認め合う多文化共生社会の実現や、法的に先住民族と位置付けられたアイヌ民族への理解が求められる中、社会教育行政に何ができるか―をテーマに企画した。歴史的にアイヌ民族との関係が深く、アイヌ文化復興拠点ウポポイが4月に開設される白老町を会場とし、地元や苫小牧市、登別市、室蘭市など10市町の教育委員会や胆振教育局の職員ら約30人が参加。白老コミュニティーセンターで「地方創生時代における社会教育行政の在り方~アイヌ文化を核とした地域住民との協働の取り組み」を主題に学んだ。
プログラムの最初は、苫小牧駒沢大学客員教授で白老アイヌ協会事務局長を務める岡田路明氏の講演。「共生社会の実現に向けて」と題し、多様性を認め合う共生社会づくりに向けた社会教育、生涯学習の重要性を訴える岡田氏の講話に耳を傾けた。
引き続き、白老アイヌ協会の岡田育子副理事長を講師に刺しゅうを体験。参加者は針と糸で伝統の文様を布に描く作業に挑みながら、先住民族文化の発信や普及啓発を図る体験事業を社会教育に取り入れる意義に認識を深めた。
また、白老町教委生涯学習課参事で仙台藩白老元陣屋資料館の武永真館長の説明で、同資料館のボランティアガイド養成についても学んだ。同資料館はウポポイ見学で白老に訪れる観光客らに、町の歴史や文化を伝えるボランティアガイドの養成に力を入れており、研修会では実際にガイド活動の様子を視察。養成講座を受講した同資料館友の会の中村正敏さんと志田健さんの案内で、アイヌ民族のコタンが形成されていた地域などを見て回った。
参加者は研修を通じてアイヌ文化を取り込んだ事業への関心を高め、安平町教委社会教育主事の山●【c59c】友加里さんは「社会教育にどう生かせるかを考えていきたい」と話した。研修会を運営した白老町教委の池田誠生涯学習課長も「講座など町教委の新たな事業を検討したい」と語った。

















