北海道栄高校柔道部の大谷大斗(3年)=渡島管内長万部中卒=が今春、関東の強豪・桐蔭横浜大に進学する。全国高校総合体育大会柔道(2019年8月、鹿児島県)男子90キロ級5位入賞など、道内屈指の実績を引っ提げ、新たなステージでも飛躍を期す。高校年代でかなえられなかった「日本一をまずは取りたい」と志は高い。
関東、関西の名門大から多く声が掛かった。1996年に創部された桐蔭横浜大柔道部は歴史こそ浅いものの、団体戦の全日本学生優勝大会8強、個人戦では学生王者も輩出している新進気鋭のチーム。昨秋に同部総監督と会った際、「柔道だけではなく人間育成も大切にしている」指導方針が進学の決め手になった。
「力の強さや組み手の厳しさは段違い。代表クラスで活躍する選手も多い」と道栄の堤士郎監督は大学柔道のレベルを表現するが、大谷本人は至って冷静だ。昨年9月に出場した全日本ジュニア(15―20歳)体重別選手権(埼玉県)男子90キロ級で東京ブロック2位、同級準優勝の東海大選手と対戦。本戦の4分間を互角に戦い、時間無制限のゴールデンスコア(延長)にまで持ち込んだ。惜しくも敗れたが、「勝負できる」手応えを感じた瞬間でもあった。
長万部町内の少年団に所属していた小中学時代の全国大会経験はない。加えて中学生になると、わずか2人しか中学選手がいない状況下に置かれた。代わりに胸を貸してくれたのが、指導陣をはじめ同時期に柔道を志した父・大樹さんら腕っぷしの強い社会人。「大人にも逃げずにしっかり組んで勝つ」方法を懸命に追い求めた3年間が、「自分で工夫しながら成長できる、本当に手の掛からない選手」(堤監督)へと成長させた。
道栄進学後は、1年時から各種全道大会で上位に入賞した。一昨年冬に挑戦した全国選手権道大会男子無差別級で、自身よりも体重のある選手を次々撃破し優勝すると、昨年3月の全国選手権、夏のインターハイ、秋の全日本ジュニア選手権、国民体育大会と次々全国舞台を踏んだ。精力的に道外合宿や大会出場を組んでくれた指導陣はもちろん、「強い先輩たちに鍛えてもらったおかげ」と躍進の軌跡を懐かしそうに振り返る。
大学カテゴリーでも「1年生から活躍したい」。主戦場の90キロ級で学生トップを取った後は、年代別の世界ジュニア選手権、日本最高峰の舞台・講道館杯への挑戦も見据える。「これからは同じレベルの選手と稽古から組むことができる。伸びしろはまだまだあるので楽しみ」と堤監督は期待した。

















