鈴木直道知事が昨年11月下旬に、2021年7月までの今回の区域認定申請を見送り、次回の挑戦を表明しているカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業。知事表明以降、国会議員を巻き込んだ贈収賄事件が発覚し、国会でも激しい論戦が続き、IRは厳しい環境下にある。5日の道議会・食と観光対策特別委員会(市橋修治委員長)では、優先候補地・苫小牧市選出の遠藤連氏(自民党・道民会議)が今年初めてIR問題を議会で取り上げ、約50分間にわたり、今後の道の対応を中心に幅広くただした。論戦内容をまとめた。
■見送り根拠は
遠藤氏は知事が今回「区域認定申請を見送った最大の理由が環境問題だった」と切り出し、道の環境影響評価条例では「50ヘクタール未満では環境アセスは行わなくていい」とされているのに、「なぜ50ヘクタール未満でもアセスをやろうとしたのか、根拠を」と改めて質問。森秀生観光局参事は苫小牧市植苗地区に希少な猛禽(もうきん)類や絶滅危惧種の植物が確認されたため、道の生物多様性保全条例も適用し「国に申請する以上、道の責務として環境条例に基づくアセスと同水準の対応が必要と判断した」と説明した。
これに対し遠藤氏は「面積に関係なく環境アセスをやったり、やらなかったり。非常に条例の適用基準があいまいになる危険性もある」と指摘し、「過去に同様な事例はあるのか」と切り込んだ。森参事は「過去にさかのぼると、自然生態系への影響などから、道道士幌然別湖線の整備事業が中止となった」と答弁した。
■IRの方針策定へ
遠藤氏は、高橋はるみ前道政時代末期の昨年4月に策定した道のIRに関する「基本的な考え方」の内容について触れ「非常に抽象的で、未解決な課題も残されたまま。道民や道議会の理解を深める上で、妨げになっている」と指摘。知事がIR誘致に再び挑戦する姿勢を示しているのであれば「もっとしっかりした、具体的な『方針』のようなものを、道が早急に作るべきだ」と提言した。
槇信彦観光局長は「指摘の『方針』を含め、北海道にふさわしいIRのコンセプトなどを構築していく必要がある。計画性を持って、着実に取り組みたい」と述べ、道としてIRの新たな方針を策定する姿勢を示した。
■次回とは、いつか?
遠藤氏は、知事が次回の申請に挑戦したいとしていることも取り上げ「今回は最大3カ所が決まるとしているが、二つになるか、一つになるか分からない。さらに再申請があるのか、どうかも分からない」との不確実な情勢の中、「知事は挑戦すると言う。何か知事自身が特別な情報を、お持ちなのか」と語り、道に対して「次の申請をいつに想定し、活動を進めようとしているのか」と迫った。
槇観光局長は「基本的にはIR整備法に明記されている、今回の認定から7年後に行われる区域数の検討を見据えて取り組む」と述べるにとどまった。
■予算計上は?
国際会議場の海外視察などIR関連事業費を新年度予算案に盛り込み、IR専任の参事を1人配置する人事案が一部で報道されたことについて、遠藤氏は「われわれも何も知らされていない。1定(第1回定例道議会、27日開会予定)にどんな予算を計上し、組織体制をどうしようとしているのか」とただした。
三瓶徹観光振興監は「現在、国会でIRに関する諸課題や進め方についてさまざまな議論が行われている」と説明し、「新年度における予算や組織体制については、こうした動向を注視しながら検討を進めているところ」と述べ、知事査定中でなお流動的であることを示唆した。
これに対し遠藤氏は、苫小牧市ではIR事業者4社が事務所を設置していたが、知事の見送り表明で1社が撤退し、残っているのは3社になった現状を説明。この3社は「道がどのような姿勢なのか、1定の予算内容を非常に注目している」と指摘し、内容によってはさらに撤退が加速する可能性に言及。「知事が挑戦するとしながらも、事業者が寄り付かない候補地になるか、つなぎ留められるかの予算になる」と警鐘を鳴らした。
(札幌支社・広江渡)
















