苫小牧市在住の山田香織さん(37)が1人で毎月発行している地域紙「ひらく」が、今月発表された第2回むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞の優秀賞に輝いた。ひらくは元苫小牧民報社記者の山田さんの丹念な取材に基づいた、行政や議会、文化、教育などの幅広い問題を扱う紙面展開が特徴。山田さんは「1人で取材をしていく苦労もあったが、今回の受賞は励みになる」と喜びをかみしめた。
同賞は地域に根差して報道する個人、団体を表彰する狙いで2018年に創設。共同代表にはルポライターの鎌田慧さんや評論家の佐高信さんらが名を連ねる。むのさんは元々朝日新聞記者だったが、敗戦を機に退社。秋田県に帰郷して週刊新聞「たいまつ」を創刊するなど、言論活動を通じて反戦を訴え、16年に101歳で亡くなった。
山田さんは苫小牧出身で富山県の大学卒業後、07年に苫小牧民報社に入社し、記者として商業から市政、文化など幅広い取材活動で経験を積み、17年末に独立。「紙の街の小さな新聞社ひらく」を設立して、苫小牧を拠点にした地域紙を18年3月創刊した。
ひらくは現在、A4サイズで全20ページ。巻頭を飾る4ページに及ぶ特集をはじめ、地域の人たちのインタビュー記事、議会の詳報、書籍や映画の紹介やイベント情報などで構成され、取材から執筆、編集、発送作業などを1人で手掛ける。「苫民では、身近な暮らしが政治や社会とつながっていることを学んだ。ひらくでも、読者に自ら考え、判断する材料を届けることを大切にしている」と山田さん。
過去の特集は、おかずが少ない学校給食の問題や学力偏重の一方で縮小する学校行事、「まちの顔」への市民意識の変遷などを掘り起こしたほか、市が誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の課題といった賛否の割れる題材も取り上げている。
「取材活動の苦労は多い」と明かす山田さん。時には他紙の記者が写真撮影できる行政や議会の取材を制限されることもあるようで、「組織に頼った取材だったことを痛感し、現場の声をより丁寧に聞くようになった」と振り返る。
同賞は今回、16都道府県から新聞や書籍、映像など計37作品の応募があった。大賞は東京新聞の連載企画「ふくしま作業員日誌」と福島第一原発で働く作業員から得た独自記事が受賞。ひらくは、3点が選ばれる優秀賞の1点。選考理由では「地域に起こる問題を広く見渡して書いてある点でずば抜けていました」などと評価された。
山田さんは「むのさんも1人で新聞を創刊した人。その名が付いた賞をいただけて、勇気付けられる」と感謝する。ひらくは、1部300円(税込み)。購読申請・問い合わせはファクス0144(77)4800か電子メールgq‐0‐utz@mx31.tiki.ne.jp
















