車が簡単に止められる―。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、鈴木直道知事が緊急事態宣言を発した翌2月29日の土曜日。新千歳空港に着いて最初に覚えた違和感だった。通常、週末の駐車場は、金曜日夜か土曜日朝に飛行機に搭乗する人で混雑する。だが、この日午前9時のターミナルビルに最も近いA駐車場でさえがら空きだった。
国内線ターミナルビル内も人影はまばら。搭乗手続きカウンター前には数えるほどの人しかいない。人気のスイーツやパンを販売する店も、いつもの行列はできていなかった。売り上げが例年の4割減となったテナントもあるという。
航空会社職員も店員も全員マスクを着用し、土産物店の従業員はやや暇を持て余しているようにも見える。飲食店で働くパートの女性(66)は「本州方面のお客さんが少ない。北海道を避けているのだろうか」と表情を曇らせた。
映画館やアニメキャラクターのアトラクション施設、多彩な飲食店や売店を有する同空港は、周辺住民にも人気の買い物・レジャースポット。旅行客の減少だけでなく、鈴木知事の外出自粛要請が関係していることは想像に難くない。土産物店従業員の男性(48)は「感染を食い止めてほしい。オリンピックも中止にならなければいいが」と夏の商機への懸念ものぞかせた。
1月末、中国政府が団体旅行の中止を決定したのに加え、本州と北海道を往来する国内旅行にも影響が出ている。本州への旅行のため空港に来た空知管内の60代の女性は「迷ったが、キャンセルもできない。行くか行かないか、どちらが正解かは分からない」と複雑な表情を見せた。
新千歳空港では2月21日、検疫官の40代女性が感染してることが判明。利用者や空港内で勤務する関係者に動揺を与えた。同日の取材で、アルバイトの男子大学生(19)は「お金やカードに触れるので小まめに手指を消毒している」と話し、パート従業員の女性(39)は「仕事が終わると髪の毛を除菌シートで拭き、帰ったらすぐシャワーを浴びている。子供や家族にうつるのは怖い」と不安な表情を見せた。一日の大半を空港で過ごす従業員にとっては神経の休まらない日が続く。
北海道の「空の玄関」として多くの人と物が行き交う新千歳空港には、世界の動きが真っ先に伝わる。新型コロナウイルスの深刻さもまた端的に表れているように見えた。
(報道部・平沖崇徳)
















