苫小牧市内の勇払原野にかつて、多く自生していたハスカップ。開発の影響で株数が少なくなった苫小牧固有の原種を増殖させ、まちづくりに活用しようと、市内の企業、団体、行政が連携して活動を開始した。増やした株を生かし、郷土愛を育むシンボルとすることで地域振興につなげたい考えだ。
勇払原野に自生する苫小牧のハスカップは「市の木の花」に指定されているが、近年、原種の株数は減少し、市民が目にできる機会は少ない。そこで苫小牧固有の原種を増やし、「郷土木」として後世に残して活用したい―と、苫小牧造園協同組合の樹木医、後藤暁子さん(40)が呼び掛けた。
市、同組合、出光興産北海道製油所、胆振総合振興局、苫小牧シルバー人材センター、地域の自然史の記録活動を行う「みちくさ研究所in苫小牧」などが趣旨に賛同し、出光敷地内(真砂町)でこのほど勉強会を開いた。敷地内にはかつて移植した原種約200株が生えており、参加した約20人は株から挿し穂を取り、根付かせる手法を学んだ。
道立総合研究機構森林研究本部林業試験場(美唄市)の錦織正智研究主幹(53)が講師を務め、枝の根元近くを15センチほど切り、鹿沼土などに植える方法を説明。「直射日光が当たらない場所に置き、根が出るまで毎日水をあげて」と解説した。参加者は切り取った約200本の挿し穂を鹿沼土や種まき用培土に挿した。根付くまで市内で管理する。
錦織研究主幹は「市民のハスカップへの認識が『採る』から『育てる』に変わったのは重要。株それぞれで実の味が違い、(多様性を)残していくことは苫小牧らしくて面白い」と意義を話した。
後藤さんは「専門家から直接話を聞けて勉強になった。増やす技術が確立されたら、市民向けの講習会を開きたい」と期待。「みちくさ研究所」代表の小玉愛子さん(40)も「苫小牧の文化の一環として原種を残し、まちづくりや生物多様性を考えるきっかけにつながれば」と展望した。
有志は今後も勉強会を開催し、増殖、管理と育成について研究を進める。増殖技術が確立されれば、苗の活用方法を検討する考えだ。
















