帝国データバンク札幌支店は、10月に実施した「人手不足に対する道内企業の動向調査」結果を発表した。今年10月時点で正社員が「不足」と感じている企業の割合は56.8%で、前年同月比で2.0ポイント低下した。下げ幅は小さく依然として5割を上回り、高止まりが続いている。
企業の規模別では、大企業が64.4%、中小企業が55.1%、小規模企業が47.6%だった。
業界別では、時間外労働時間の上限規制が適用された「2024年問題」に直面している「運輸・倉庫」が81.8%でトップ。前年同月に比べ20.3ポイント上昇した。企業からは「天候不順が多い中で人手が不足している」(運輸、小規模企業)との声が聞かれ、人手不足が慢性化している。
これに「農・林・水産」が72.7%、「建設」が72.6%で続き、7割台の高水準となっている。企業からは「技術者、労働者が不足している」(建設、中小企業)との声が上がり、両業界とも慢性的な技術者不足や就業者の高齢化が指摘されている。
この他、ITエンジニア不足が深刻な「情報サービス」などを含む「サービス」(67.1%)や、デジタル人材へのリスキリングなどに注目が集まる「金融」(63.6%)も6割台と人手不足が目立っている。
一方、非正社員が不足している企業の割合は36.4%となり、前年同月比では0.3ポイント低下。4年ぶりに前年を下回り、人手不足はやや緩和傾向へ転じている。
同支店では、政府が「2030年代半ばまでに最低賃金の全国加重平均1500円を目指す」と表明していることを重視。最低賃金引き上げにもかかわらず、いわゆる「103万円の壁」に代表される所得税の基礎控除合計が変わらなければ「労働時間の減少につながる」ことを懸念。「控除合計の上限が見直されれば労働時間の拡大が期待できることから、特に非正社員においては人手不足の解消にも貢献できる可能性がある」と指摘。国会で活発化する議論を注視している。
調査は10月18~31日、道内企業1143社を対象に実施。510社から回答を得た。回答率44.6%。
















