苫小牧市長選で火花を散らす、いずれも無所属新人で、元市議会議員の金沢俊氏(50)=自民、公明、新党大地推薦=と、元市職員の田村一也氏(49)=立憲民主、社民推薦=。4日で早くも折り返しを迎えた中、金沢氏は岩倉博文前市長の後継指名を強力にアピールする一方、田村氏は支持基盤の政党や労組がフル回転するなど、それぞれの活動に違いや特色が表れている=届け出順=。
金沢陣営 前市長後継指名全面に 企業や町内会中心に支持獲得へ
金沢氏は岩倉博文前市長の後継指名を受けたことを全面に出し、企業や団体をくまなく回って基盤固めを続けている。市議時代に所属していた会派「新緑」のメンバーや町内会の協力を得ながら、主に夕方の時間帯を利用して集会場に足を運び、自身の政策や思いを訴えてきた。
これまで地元日新町の日新草笛ふれあいセンターをはじめ、新中野町総合福祉会館、スプリングタウン総合福祉会館などを訪れ、有権者各40~120人を前に思いを伝えてきた。市議時代と比べて街頭演説の機会を減らし、ターゲットを絞り込んで支持を拡大する。
陣営関係者は「時間が限られる中の選挙戦。移動時間も含めて朝は早く、休憩時間も短いタイトなスケジュール」と説明。冷え込みが厳しさを増すこの時期、「街頭に人が集まりにくい」と分析し、力を入れる集会の演説に「(有権者に)思いも伝わりやすい」と手応えをつかむ。
金沢氏は自民党の出身ながら、演説では政党色を強めずに政策を訴える。ただ、集会では新緑と公明党議員団の議員が輪番で応援に入り、金沢氏の人柄をアピールするなど、強力に援護射撃する場面も見られる。
4日には岩倉前市長が応援で選挙対策事務所に駆け付け、「結束力が大事。油断せずに頑張って」と激励した。金沢氏は、岩倉氏の後援会や妻早苗氏の協力に感謝し、「尻をたたかれたので頑張らなければ。いい結果を報告できるように頑張ります」と力を込めた。
田村陣営 立憲道連が強力に支援 知名度向上へ小まめに街頭演説
田村氏は、推薦する立憲民主党道連が強力にバックアップ。告示前日の後援会事務所開き兼決起集会には勝部賢志代表代行が、告示日の出陣式では逢坂誠二代表が来苫し、応援弁士となってマイクを握るなど田村氏への支持を訴える。
同党、社民の推薦以外にも、国民民主党道総支部連合会が支持し、共産党苫小牧地区委員会も自主支援する。労働組合活動の経験を軸とする田村氏に対し、連合苫小牧をはじめ主立った市内の労組も支援に回る。
陣営では相手候補と比較し、知名度不足を自覚しつつ戦略を構築。個人演説会で不特定多数の市民を呼び込むことは難しいと判断し、市内の遊説活動に重点を置き、小まめに街頭演説を繰り広げるなど、知名度アップを図っている。
インスタグラムやX(旧ツイッター)などのSNSも活用し、若い世代への浸透を狙う。街頭演説の場所や時間の告知にとどまらず、政策や人となりを発信し続けている。
田村氏は演説などで、市職員として勤めた経緯から、岩倉前市長への直接的な批判は控え、学校給食費の段階的無償化など政策の浸透に力点を置く。ただ、長期に及んだ岩倉市政の偏りなどの指摘は折り込み、応援弁士らも「与野党対決」の姿勢を鮮明にする。
4日は市役所前で街頭演説し、立憲民主党の沖田清志道議が「これまでの市政を継続するのか、それとも新しい市政運営を目指すのか、問われている」と声を張り上げた。

















