カスハラ防止へ具体例10項目明記 道が条例対応指針案 来年4月運用開始

カスハラ防止へ具体例10項目明記 道が条例対応指針案 来年4月運用開始

 道議会が11月26日に議員提案で「北海道カスタマーハラスメント(カスハラ)防止条例」を可決・成立させたことを受け、道は条例の実効性を高めるために策定する「カスハラ防止指針」の検討案を公表した。カスハラの定義として10項目の具体的事例を列挙。指針は今後、道議会や北海道労働審議会での議論を経て策定し、来年4月1日の条例施行に合わせて運用を開始する。

 カスハラは、従業員に土下座して謝罪するよう強要したり、暴言を吐いて過度な要求を繰り返したりするなどの迷惑行為が該当するとされる。道内でも近年、被害を受けた従業員が心身の不調で離職や自殺に追い込まれるなど、小売・サービス業界を中心に深刻な問題となっている。

 道の指針の検討案では、カスハラの具体的事例として(1)身体的な攻撃(2)精神的な攻撃(3)身体・精神的な攻撃(4)威圧的な言動(5)土下座の要求(6)継続的な、執拗(しつよう)な言動―など10項目を明記。身体的な攻撃としては「暴行、強要、脅迫、わいせつ行為、盗撮など」、精神的な攻撃としては「大声、暴言、罵倒、侮辱的言動」を挙げた。

 道や顧客、事業者の責務も定めた。道は市町村が行う施策を支援し、事業者は取引先を含めてカスハラをしないよう啓発。道民の役割としては「一人一人が自覚し、カスハラの加害者にならないよう努め、カスハラのない社会を目指していく」とし、関心と理解を深めるよう促す。

 道は4日の道労働審議会で、指針の検討案を示した。委員からは「現場には客の行為がカスハラに該当するというお墨付きが重要で、事例は具体化すべきだ」との声が上がったほか、「企業でマニュアルを策定するのは労力がかかる。道に支援体制を組んでもらいたい」との要望も出た。

 道は今後、同審議会の意見を踏まえ、指針の素案を作成。パブリックコメント(道民意見公募)も実施し、来年4月までに指針を策定する予定だ。

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