実現程遠い核燃サイクル 核ごみ処分場選定が難航 3町村で調査、懸念根強く

佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長(右から2人目)と会談する原子力発電環境整備機構(NUMO)の山口彰理事長(左)=7月26日、同町

 原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の選定が難航している。候補地を探すための調査が北海道と佐賀県の3町村で進むが、住民らの懸念は根強い。原発が順次再稼働する一方、使用済み燃料は再処理開始のめどが立たず、国が推進する「核燃料サイクル」は実現が程遠い。

 ▽「トイレなきマンション」

 最終処分場がないまま動き続ける原発は、「トイレのないマンション」とやゆされる。最終処分を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)は2002年に候補地の公募を開始したが、まだ決まっていない。選定のための第1段階の文献調査は20年に後志管内の寿都町と神恵内村、24年に佐賀県玄海町で始まったものの、これら3地域に限られる。

 寿都町は全域、神恵内村は一部地域を除き、次の概要調査の対象になり得ると判断された。NUMOは今秋にも報告書をまとめ、各地で順次住民説明会を開く予定だ。ただ、道の鈴木直道知事は調査実施に反対を表明している。佐賀県知事も玄海町の概要調査に反対し、いずれも着地が見通せない。

 国は、最終処分に関する基本方針で「政府の責任」を明記し、調査地域の拡大を目指している。海外の先行事例を参考に目安は10カ所程度。過去には、高知県東洋町や長崎県対馬市でも調査受け入れの是非が議論されたが実現はしなかった。100以上の自治体を訪ねる「全国行脚」で説明の機会を増やしている。

 ▽未処理1・9万トン

 半世紀以上原発を利用してきた日本は、各地の原発などで約1・9万トンの使用済み燃料を抱え、保管容量の約8割に達している。小資源国で、使用済み燃料を再生し繰り返し発電に使う核燃サイクルを掲げてきたが、要となる再処理工場は完成していない。日本原燃が1993年に青森県六ヶ所村で着工した日本初の商業用施設は完成時期を27回延期している。

 同県むつ市では、原発敷地外で使用済み燃料を一時保管する中間貯蔵施設が稼働を控えている。今年9月には東京電力ホールディングスの柏崎刈羽原発(新潟県)から使用済み燃料を運び入れた。しかし地元は、再処理工場が完成せず、搬出先のめどが立たないままの見切り発車に、保管の恒久化を心配する。

 国は原発の建て替えや運転期間の延長の方針を定め、「原発回帰」にかじを切った。経済産業省の担当者は、最終処分について「原発を利用してきて避けては通れない」と話す。調査拡大が難航し、一部地域に負担が偏る現状に、日本原子力産業協会の増井秀企理事長は「国民的な議論が必要だ」と指摘する。

 高レベル放射性廃棄物 原発の使用済み核燃料から再利用できるウランとプルトニウムを取り出した後に残る廃液を、ガラスと混ぜ合わせ固めたもの。「核のごみ」とも呼ばれる。放射能が弱まるまで数万年以上、地下300メートルより深くに埋め隔離する計画がある。

 処分場の選定は文献調査、概要調査(ボーリング調査)、精密調査の3段階で行われる。後志管内の寿都町と神恵内村、佐賀県玄海町が文献調査を受け入れたが、概要調査に進むには知事らの同意が必要になる。

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る