「被爆ピアノコンサート」開催へ ノーベル平和賞・被団協の思いを 道内の高校生平和大使ら 札幌市内4カ所で

「被爆ピアノコンサート」開催へ ノーベル平和賞・被団協の思いを 道内の高校生平和大使ら 札幌市内4カ所で
来春「被爆ピアノコンサート」を開催する「高校生平和大使」を含む実行委メンバー=道政記者クラブ

 核兵器廃絶を訴え続ける「高校生平和大使」を含む道内の高校生たちが実行委員会を組織して主催し、来春に札幌市内4カ所で「被爆80年・高校生被爆ピアノコンサート」を開催する。「被爆ピアノ」は1945年の原爆投下により広島、長崎で被爆したピアノ。今月10日には核兵器の非人道性を語り継いできた日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が、ノーベル平和賞を受賞した。実行委では被団協の思い、メッセージを、コンサートを通じ「若い世代にも伝えたい」と張り切っている。

 高校生平和大使は、核兵器廃絶と若い世代に平和運動を継承することを狙いとした活動。1998年に長崎の市民団体が開始し、現在は全国に拡大している。スイス・ジュネーブの国連欧州本部を訪れ、日本の「高校生1万人署名」を届ける活動を継続。2018年からはノーベル平和賞の候補にもノミネートされ続けている。

 道内では連合北海道などが実行委を組織し、13年から毎年2~3人を選考。今年まで第12代にわたる高校生平和大使を派遣している。

 「被爆ピアノコンサート」を企画した実行委は、今年度の北海道高校生平和大使の皆川舞奈さん=第一学院高3年=と高佐安里さん=藤女子高2年=、昨年度の同大使の上坂芽生さん=札幌開成中等教育学校5年=ら札幌の高校生を中心に構成。同様のコンサートを開くのは道内では22年以来2度目となる。

 実行委は「来年は被爆80年。日本被団協のノーベル平和賞受賞の半面、北海道被爆者協会が3月末で解散する予定」と節目の年であることを指摘。「被爆したピアノの音を聴き、たくさんの傷を目にすることで、来場される方々が戦争や被爆を『自分ごと』と考えることができたら」とコンサートの意義を語る。

 コンサートは3月29~31日の3日間、札幌市内4カ所で開催する予定。会場は紀伊國屋書店前空間「インナーガーデン」、駅前通地下歩行空間(チカホ)、商業施設、市役所ロビーを予定しており、入場は無料。

 実行委員長を務める皆川さんは、被団協のノーベル平和賞受賞について「被爆者だったり、核兵器廃絶が世界中に知れ渡る一つのきっかけになると考えています」と強調。「私たちの活動についても、関心を深めてくれる若い世代がもっと増えるきっかけになれば」と期待感を語った。

 実行委は、コンサート開催へ向け広島から北海道へ移動させる「被爆ピアノ」の往復の経費に充てるため、今月10日から来年2月7日までクラウドファンディングも募っている。目標金額は160万円。問い合わせは連合北海道の道民運動局 電話011(210)0050。

 ◇被爆ピアノ

 1945年8月の米軍の原爆投下によって被爆したピアノ。広島に9台、長崎に1台、仙台に1台の計11台が「爆風により傷だらけとなったピアノ」として現存している。その幾つかは再生され、演奏活動で使用されている。

 2017年にノルウェーのオスロで開かれた「ICANのノーベル平和賞コンサート」でのピアノ演奏により、その存在が世界的に知られるようになった。

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