2024年の苫小牧署管内(東胆振1市4町)の刑法犯認知件数は、11月末時点で前年同期比90件増の1065件(暫定値)に上っている。21年以降は増加傾向にあり、窃盗犯の急増が全体の件数を押し上げている。SNS型投資・ロマンス詐欺の被害総額も1億2000万円を突破。地域の安心、安全確保へ、同署は年末年始の警戒を強める。
今月16日、苫小牧市文化交流センターで開かれた市防犯協会主催の市民集会。同署の葛西浩司署長は「自転車盗や万引きなど身近な犯罪が増えている。年末に向け、警察活動も強化していく」と力を込めた。
同署によると、11月末時点で窃盗犯は前年同期比39件増の636件。このうち、自転車盗が50件増の229件と急増している。駅周辺の自転車が狙われやすく、約7割が無施錠で盗難に遭った。
9月3~4日には市内木場町で乗用車、日新町で軽乗用車と乗用車の計3台が相次ぎ盗まれた。その後の捜査で市内の40代と20代の男2人が共謀し、クレーン付きトラックで運び出したことが分かり、翌月に逮捕。盗まれたのはいずれも車検切れの車で、売却目的だったとみられる。
万引きは43件増の168件。同署は大型商業施設を中心にパトロールを強化しており、被害品が弁償されても被害届を出すよう強く求めているという。
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昨年は1件100万円の被害だったSNS型投資・ロマンス詐欺が11月末時点ですでに4件、計1億2420万円を数える。市内の60代男性は7~8月、マッチングアプリで知り合った女性からライン上で投資話を持ち掛けられ、指定の口座やアドレスに複数回に分けて現金や暗号資産を送付。不審に思い、警察に相談した時点で計約3100万円をだまし取られていた。
行員や店員らの機転でATM(現金自動預払機)操作に戸惑っている人、高額な電子マネーを購入する人に声掛けし未然防止につながったケースもあった。同署の冨士本学生活安全課長は「SNS上の詐欺は発覚しにくく、長期化し被害額も高額になりやすい」と指摘。「SNSだけのやりとりを簡単に信じないでほしい」と訴える。
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凶悪犯は3件増の10件で、うち殺人未遂などが2件増の3件。10月28日、胆振管内に住む高校生の少年(当時15)が殺人予備の疑いで逮捕された。同管内の女子中学生を殺害する目的でロープ1本を携え、女子宅を訪ねた。調べに対し少年は「誰かを殺したいと思った」と供述した。
「不同意性交等」は3件増の5件。2月28日夕、市内の路上を歩いていた10代女性が、男に「車の下に物が挟まっているから(除去するのを)手伝って」と声を掛けられ、無理やり車に乗せられた。約1時間連れ回された後、車内で抱き付かれた女性は隙を見て、近くの交番に逃げ込んだという。
同署は翌29日、わいせつ略取、監禁、不同意性交等未遂の疑いで市内の20代男を逮捕。2人に面識はなかった。
この他、白老町で7月4日と12月12日に民家から砲弾のような物が見つかった。いずれも点火装置の信管がなく、爆発の可能性はないと判断されたが地域住民を避難させ、自衛隊による回収作業が行われるなど一時、現場は騒然となった。
















