自ら命を絶つ人が全国で後を絶たない中、苫小牧市は新年度、小中学校の教職員を対象にしたゲートキーパー養成講座を開講する方針を固めた。ゲートキーパーは自死を考えるほど深い悩みを抱える人の様子に気付き、声掛けや傾聴、必要な支援先につなげる役割を担う人。一般市民向けの養成事業は2013年度から本格実施しているが、自殺リスクが高まっている子どもや若者への対策強化のため、教職員のゲートキーパー養成が必要と判断した。
講座内容は、悩んでいる人の気持ちに寄り添い、話に耳を傾けることの大切さを伝えることを基本に、思春期の子どもの発達への理解や接し方なども盛り込む考え。昨年末に開成中学校で試行した教職員向け講座の参加者の意見も聞きながら詳細を詰め、6月にも開催する予定だ。
市の一般向けの養成講座では、これまでに3300人を超えるゲートキーパーが誕生した。しかし、全国の小中高生の自殺者数が22、23年に500人台を突破し、市はこの年代のケアが重要として健康増進計画(24~29年度)に「こども・若者の自殺対策の推進」を明記。子どもと接する機会の多い教職員の養成講座を検討してきた。
学校独自で子どものメンタルヘルスケア研修を計画していた開成中学校の協力を得て、昨年12月に行った講座には市内小中学校から約40人の教職員が参加。北海道メンタルケアセンターの臨床心理士で、市内の学校でスクールカウンセラーも務める藤野慎平さんが講師となり、「悩み苦しむ子どもたちの健康と生命を守る」と題して講演した。
藤野さんは子どもが安心して悩みを打ち明けられるような関係性を築くためのコミュニケーションのポイントや、「周囲の目を気にする」「ささいなことで悩みが大きくなる」といった思春期特有の傾向を紹介。自傷行為についても取り上げ、手首や腕などの傷に教職員側が気が付いた際の具体的な声の掛け方や、緊急性の判断の仕方なども解説した。
市健康支援課保健師の七井春菜さんは「参加者アンケートを参考に講座内容を検討し、子どもの自殺予防対策を進めたい」と話している。
















