撮影時の楽しみ

撮影時の楽しみ

 いまさらと言わないでほしい。映画「ドライブ・マイ・カー」を見た。濱口竜介監督2021年公開。村上春樹の短編小説を原作に描くヒューマンドラマ。妻との記憶が刻まれた車。聴けなかった秘密。孤独な二人がたどり着く場所。

 いいものを見た。大事件が次々と発生するが静かに時が進んでいく。わたしなどは大したことでもなくても、いちいち大声で伝えてしまう人間なので、伝えない方が伝わることってあるよな、なんて、いちいち自分に置き換え反省しつつの鑑賞。

 美しい景色、セット、人びと、気持ち、が素敵なのだが、人びとの名前がまたいいのだ。

 西島秀俊さん演じる役名が家福悠介

 三浦透子さん演じる役名が渡利みさき

 霧島れいかさんの役名は家福音

 岡田将生くんの役名は高槻耕史

 耳に残る役名で、わたしは演じさせてもらうこともあるので、こんな役名もらったら、さぞうれしいだろうと思ってみたりもした。

 ドライブ・マイ・カーのタイトル通り、車のシーンが多くてうれしい。家福さんの愛車赤いサーブで、みさきと共に向かう先は北海道。雪の白に赤いサーブ900はとても映えてみえる。ロケ地はどこだ? とネットで探してみることに。

 情報によると赤平市だとのこと。道道227号線(赤平滝川線)沿いに、ドライブ・マイ・カー仕様の5本の電柱が設置されているようで、これはいつか行ってみたい。

 さらに情報によると、キャストスタッフさんたちも、名物とんかつラーメンなるものを召し上がったとのこと。とんかつ?ラーメン?と写真を見ると、麺を全面隠している大きなトンカツ。つゆに浮かんでいるわけだから、トンカツの醍醐味(だいごみ)サクッとした食感ではないわけですね、これも、いただいてみたい。

 話が変わるが、撮影の時の楽しみはおいしく温かい食事。特に寒い時期の撮影は過酷で、芯から冷えるとはこのことか!と感じるが、温かい食事をいただいた途端に、心身がほぐれるというものだ。その土地の名物をいただけるのも、また楽しい。きっと、ドライブ・マイ・カーの人びともそうだったに違いない。

(タレント)

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