LNGフェリーお披露目 商船三井「さんふらわあ かむい」 苫小牧―大洗航路 脱炭素推進

モーダルシフト促進を見据えて拡張したトラック積載スペース

 海運大手の商船三井(東京)と、苫小牧―大洗のフェリー航路を運航するグループ会社の商船三井さんふらわあ(同)は15日、21日に同航路で就航する新造LNG(液化天然ガス)燃料フェリー「さんふらわあ かむい」の船内見学会を開いた。関係者ら約180人が参加し、脱炭素社会実現の貢献につながる、東日本初の次世代フェリー運航開始に向けて期待を膨らませた。

 同グループが掲げる「次世代ECO(エコ)フェリー」で、二酸化炭素排出量を従来船と比べて約35%削減。LNG自体が従来燃料のC重油と比べてCO2約25%、硫黄酸化物100%などの削減効果がある他、船首に丸みを帯びた流線形を採用するなど、さまざまな省エネ技術を活用した。

 全長は従来船比10メートル弱増の199・4メートル、総トン数は約4200トン増の約1万5600トンと大型化。旅客定員は3人増の157人、乗用車は12台減の50台にとどめる一方、トラック積載可能数は13メートル換算で20台増の155台と拡張した。さらに大部屋を廃止して全室個室化するなど、貨物トラック輸送が海上輸送などに切り替わる「モーダルシフト」を促す狙いもある。

 同グループは2023年から、LNGフェリー2隻を大阪―別府航路に投入しており、苫小牧―大洗は東日本初の導入。重油燃料フェリーの代替船で、21日から「さんふらわあ かむい」を、5月ごろに「さんふらわあ ぴりか」を就航させる予定。いずれもフェリー事業ブランド名にアイヌ語(カムイは神、ピリカは美しいなど)を合わせ、本道への就航をアピールする。

 「かむい」は昨年4月に広島県尾道市の内海造船因島工場で命名・進水式を行い、同12月29日から苫小牧―大洗で詰めの習熟訓練を展開してきた。15日の船内見学会は、地元の港湾、運輸、経済関連などの関係者を中心に招いて開催。参加者は多彩な客室をはじめ、展望浴場やサウナ、ドッグランやキッズスペースなど、幅広いニーズに合わせて快適に過ごせる船内をつぶさに見て回った。

 見学した鈴与運輸事業営業部札幌事業所(市あけぼの町)の荻野沙友里さん(35)は「かなり広くて、一般の乗客にも向いてる。トレーラーを運ぶデッキも広くて、ドライバーが乗船しても快適に過ごせそう。ドライバー用の浴場も完備されて、設備も立派」と目を輝かせていた。

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