不動産担保や経営者保証などによらない、資金調達の新たな選択肢になり得る「企業価値担保権」が注目を集めている。この企業価値担保権の創設などを骨子とする「事業性融資の推進等に関する法律」が2024年6月に公布され、成立から2年半以内に施行が予定されているからだ。帝国データバンク札幌支店では、同担保権に対する道内企業の意識調査結果を発表した。同担保権の認知度は3割弱にとどまり、「知らない(名前も聞いたことがない)」企業が52.7%と半数以上に上った。
同担保権は、事業者の将来キャッシュフローや無形資産を含む事業全体を担保として、有形資産の乏しいスタートアップ(新興企業)や、経営者保証により事業承継や思い切った事業展開を躊躇(ちゅうちょ)している事業者などの資金調達を円滑にすることで、企業の活性化につなげることが期待されている。加えて、金融機関によるタイムリーな経営改善、資金繰り支援の動きが加速しそうだ。
認知度については、「制度の内容を含めてよく知っている」は1.0%にとどまった。「制度の内容を含めてある程度知っている」のが6.3%、「名前は聞いたことがあるが、制度の内容は知らない」の21.7%と合わせても3割弱と低水準だった。
企業からは「制度の趣旨(融資拡大への可能性)には期待するが、金融機関の姿勢については懐疑的に感じている」(受託開発ソフトウェア)、「新しい言葉なので勉強を進める」(一般貨物自動車運送)などの声が上がっている。
金融機関から融資を受ける際に、企業価値担保権を活用したいかについては、「活用意向あり」が26.0%で、「活用したいと思わない」が23.9%。企業の見解は二分している。
活用意向ありとする企業の理由(複数回答)に関しては、「自社の事業性に着目した評価に基づき融資を受けたいため」が57.8%でトップ。活用したいと思わない企業の理由(同)については、「自己資本で必要な資産を賄えているため」(39.0%)が最多だった。
調査は24年9月13~30日に、道内企業1148社を対象に実施。493社から回答を得た。回答率42.9%。
















