鈴木直道知事は17日の定例記者会見で、旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術などを強いられた障害のある人らへの補償金支給法が同日施行され、全国の都道府県で申請の受け付けが始まったことについて「被害者や家族の方々が速やかに補償が受けることができるよう、きめ細かな支援を行っていきたい」との姿勢を示した。
強制不妊手術の道内の被害者は全国最多の3224人に上る。知事は「法に基づく事務の執行とはいえ、道として優生保護を進めてきたことに、被害者、家族の方々に改めて心よりおわび申し上げる」と謝罪した。
被害者に対して補償の対象となり得ることを伝える「個別通知」の対象者は、現時点で記録が残る928人にとどまる。
知事は「現在設置している『旧優生保護法に関する相談支援センター』でフリーダイヤルによる電話相談や面談などを行う」としたほか、申請受け付けに合わせて新たな取り組みとして「無料で手続きをお手伝いするサポート弁護士を紹介するなど、きめ細かな対応を行っていく」と説明。「手術を受けた記憶はあるが、旧優生保護法による手術なのか分からない。手元に記録がない。うまく資料作成ができないといった相談や、本人や親族、関係者の方で心当たりのある方については、積極的に道の相談窓口に連絡してほしい」と語った。
また「既に一時金を受給された方々に対する個別通知を順次実施するとともに、北海道に氏名および戸籍の情報が残されている方々への個別通知についても実施へ向けた準備を進めていく」との方針を示した。
補償法は昨年10月に成立。不妊手術を強いられた本人に1500万円、配偶者に500万円を支払い、死亡している場合は遺族が受け取れる。人工妊娠中絶を受けた人には一時金として200万円を支給する。申請期限は2030年1月16日。
知事は「一人でも多くの方々に情報をお届けし、補償金などを確実に受けていただけるよう」と周知活動も強化することを説明。「こども家庭庁では特設サイトの開設や各種周知活動を実施。本日から19日までテレビCMも放送する」としたほか、「道としても新聞、ラジオ広告、道広報紙、公式X(旧ツイッター)など各種媒体を通じて広報を実施していく」と述べた。
申請受け付けが始まった初日の道内では1人が申請。2018年に全国で初めて実名で提訴した札幌市北区の小島喜久夫さん(83)の妻の麗子さん(82)が、道庁で配偶者対象の補償を申請。麗子さんは「7年間頑張ってきた。今は本当に幸せ」と語った。
















