登別の中1男子死亡 いじめ被害の疑いも 市教委第三者委設置へ

登別の中1男子死亡  いじめ被害の疑いも 市教委第三者委設置へ
死亡した男子生徒に黙とうをささげる登別市教育委員会の関係者

 登別市のアパート敷地内で倒れているところを見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された中学1年の男子生徒(13)に関し、市教育委員会は6月30日に記者会見を開き、生徒が亡くなる4日前に学校の保健室で、部活動の人間関係の悩みと推察される話をしていたことを明らかにした。市教委は、男子生徒がいじめ被害に遭っていた疑いがあるとして、今月上旬に原因究明の第三者委員会を設置する。

 6月22日に死亡した男子生徒が通っていた中学の校長によると、同18日にこの生徒が学校で腹痛を訴え、保健室で休んだ。この際、「部活動で疲れている」と話す男子生徒に養護教諭が「トレーニングで?」と聞き返したところ、「いや、人間関係で」と答えたという。

 男子生徒はそれ以上、話をしたがらず、30分ほどベッドで休んだ後、教室に戻った。会話の内容については、養護教諭から担任教諭へ報告されていなかった。担任教諭や部活動の顧問も男子生徒から悩み相談を受けていなかったが、記者会見で校長は「小さなサインに気付く機会はあったと思うが、誰も気付いてやれなかった」と悔やんだ。

 市教委は、男子生徒の母親から「いじめで自殺した」という趣旨の訴えを受け、死亡当日に部活動の部員への聞き取りを実施。翌日の23日に全校生徒へ記名式アンケートを行ったところ、男子生徒が身体的特徴や運動能力などでからかわれていた―との記述があった。また、SNS(インターネット交流サイト)でも、からかいの書き込みがあったことをつかんだという。

 母親の証言やアンケートの回答を踏まえて市教委は、いじめ被害の疑いがあると判断。堀井貴之教育部長は「大切な命を救うことができず、大変に申し訳ない」と述べ、事実関係の究明と再発防止に向けて近く、弁護士や大学教員、臨床心理士など委員5人で構成する重大事案対策委員会を設置し、調査を諮問するとした。今回の事態に武田博教育長は「尊い命が失われたことを大変に重く受け止めている。教育委員会の責務として原因をしっかりと究明する」と話した。

 男子生徒は6月22日午前8時半ごろ、自宅アパート敷地内で倒れている状態で見つかった。警察は現場の状況から、5階建てアパートの上部から飛び降りた可能性があるとして調べている。

関連記事

最新記事

ランキング

一覧を見る

紙面ビューワー

紙面ビューワー画面

レッドイーグルス

一覧を見る