ホテル運営や飲食業などを手掛ける於久仁(苫小牧市新中野町、不川貴与美社長)は、7月末で市内若草町の料亭於久仁を閉店する。新型コロナウイルスの感染拡大により、団体予約のキャンセルが相次ぐなどの打撃を受け、事業縮小を決めた。29年にわたり市民に親しまれてきた料亭で、同社は「長年の利用に、心から感謝したい」としている。
於久仁は、1953年に創業。市内錦町で飲食店などを展開後、91年5月に料亭をオープンさせた。落ち着いた雰囲気の中、個室で四季折々の会席料理を楽しめ、接待や宴会、法要などの会場として重宝された。別室の食座楽々ではコース料理やランチが提供され、家族連れらも気軽に足を運んできた。
不川社長(72)は「オープン当時は札幌から芸者さんを呼び、大変にぎわっていた」と懐かしむ。もてなしの心を大切に営業。2012年と17年には「ミシュランガイド北海道」で一つ星を獲得し、道外からのツアー客も訪れるようになった。
しかし、バブル経済崩壊後は客の食事形態が変化。料亭を利用する企業が減っていった。経済団体の会合や市民の会食需要は根強かったが、今年の3月以降、新型コロナウイルスの影響で計数百件の宴会予約キャンセルが発生。来店客や売り上げは前年比で8割減となった。
先行き不透明な中、不川社長や次男の不川順詞常務(45)ら役員で協議を重ね、5月に閉店を決めた。
料亭の従業員約10人は、自己都合退職者を除き、市内新中野町のホテル於久仁に配転するなどして雇用を維持する。建物は当面は残し、外販向けの調理などを続ける方針。常連客らが於久仁の料理を望む場合は、同ホテルの宴会場や「食座大黒」で提供することも可能という。
将来的な料亭の建物の活用方法については検討中。「時代が変化する中、新しいことをやるなら今だと決断した。10年以上おせち料理を取ってくれた方もおり、大変感謝している」と不川社長。不川常務は「これで終わりではなく、新しい可能性、事業形態を考えていきたい」と述べた。
















