聴覚・言語機能障害者用の「Net119緊急通報システム」運用に向けて、白老町消防本部は9日、システムの取り扱いや通報受信の訓練を行った。会話が不自由な障害者がスマートフォンなど携帯端末を通じて消防へ円滑に通報でき、町消防本部は8月1日の導入を目指している。アイヌ文化発信拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)の開業を契機に来町する観光客が増えると予想される中、障害のある人も安心して白老へ足を運んでもらえるようシステムの運用体制を整える。
Net119は言葉による通報が困難な聴覚・言語障害者に対応したシステム。障害のある人が急病や事故、火事などの際、所有するスマホなどGPS(全地球測位システム)付き携帯端末のインターネットメールの専用アプリを操作すると、文字情報で消防へ通報できる。
受信した消防本部はGPS機能で通報者の位置を把握し、メールで送られてきた文字情報や現場の写真などで状況を確認。アプリ使用の事前登録により、通報者の名前や住所、年齢、性別も即座に分かり、円滑な緊急出動を可能にする。
町消防本部はシステムの本格運用に向け、本部庁舎の通信指令室で訓練を実施。通報者役の職員がスマホの専用アプリで119番通報し、受信した通信指令室職員が事態を把握、緊急出動へつなげる流れを確認した。
アプリ利用を登録している聴覚・言語障害者は居住地以外の地域でもシステムを利用できるため、白老町外在住の利用登録者がウポポイ見学などで来町した場合も、Net119を通じて白老町消防へ通報可能だ。
町消防本部は8月1日から、聴覚・言語の障害のある町民の登録を受け付け、運用を開始する予定で「ウポポイのオープンで障害のある観光客も多く訪れることが予想され、システム導入で安全安心なまちを目指したい」と言う。
Net119は全国の消防本部で導入が進みつつあり、胆振管内では西胆振行政事務組合消防本部(本部伊達市)が運用している。

















