日高南部森林管理署(梶岡雅人署長)と新ひだか町は9日、アイヌ民族が儀式で用いる祭具や衣装、生活用具の素材となる枝や樹皮などを国有林から採取することができる「共用林野制度」の契約を道内で初めて締結した。
昨年4月に制定されたアイヌ施策推進法に基づく特例措置。アイヌ民族から要望を受けた市町村が、国有林を活用するための計画を作り、国の認定を受けて共用林野の設定が可能となった。現在、札幌市や釧路市、千歳市、白老町、釧路管内白糠町、平取町、新ひだか町の7市町が計画書の認定を受けている。
この日の契約では、静内地区約578ヘクタール、三石地区約491ヘクタールを共用林野に設定。祭具のイナウに使うヤナギの枝や伝統的衣装アットウシの材料となるオヒョウの樹皮などの採取が可能となり、契約期間は、2024年3月31日まで。更新も可能。道内の6市町も順次、契約が締結される予定。
新ひだか町静内緑町の同管理署で行われた締結式には、大野克之町長、新ひだかアイヌ協会の大川勝会長(北海道アイヌ協会理事長)、三石アイヌ協会の幌村司会長、町の菅原勝吉民族文化専門員が同席した。
大川会長は「今まで、道有林や町有林の河川敷地で採取していたが、年々減少傾向になっていた。国有林には良質のものがあるので、大変うれしく助かります」と感謝していた。

















