今年夏、電力が不足する恐れが強まっている。火力発電所が相次いで休廃止し、猛暑で冷房需要が高まると安定的な電力供給が危うくなる。政府は夏としては7年ぶりに全国規模の節電を要請。26日には「電力需給逼迫(ひっぱく)注意報」を初めて発令した。冬の電力需給は一段と厳しくなるとみられ、油断できない状態が続く。
―なぜ不足する恐れがあるの。 太陽光発電など再生可能エネルギーの普及に伴って採算が悪化した火力発電所の休廃止が進み、供給力が落ちているのが主因だ。ロシアのウクライナ侵攻の影響で天然ガスの輸入が滞ることへの懸念もある。
―供給力はどれくらいなの。 安定供給には需要に対する供給力の余裕(予備率)が最低3%は必要になる。だが、10年に1度の厳しい暑さとなった場合、東北、東京、中部の3電力管内の7月の予備率は3・1%とぎりぎりの状態だ。今冬はさらに逼迫し、東京電力管内の1、2月の予備率はマイナスを見込んでいる。電力は需給バランスが崩れると大規模停電が起きる恐れがあり、電力会社などが対応を進めている。
―どう対応しているのかな。 電力会社は、休止中の火力発電再開などを進め、本州で135・7万㌗を確保した。予備率は1%ほど改善する見込みだが、設備トラブルなどを考えると「楽観できない」(電力大手)という。
―節電も必要だ。 政府は「電力需給逼迫警報」の発令時刻を早めた。より早い段階で「注意報」や「準備情報」も出して、消費者や企業が余裕を持って節電に対応できるようにした。企業に法令で節電を義務付ける「電力使用制限令」の発動も検討する。また、東電などは家庭向けに節電量に応じて買い物などに利用できるポイントを付与する取り組みを始める。政府は、このキャンペーンに参加した家庭に2000円相当のポイントを支給する方向で調整を進めるなど、取り組みを支援して節電を促す考えだ。
―どんな節電方法があるの。 例えば、消費電力の大きい冷房については、熱中症に注意しつつ、室温の目安を度とする。一つの部屋に集まって電力使用を減らす「クールシェアリング」も有効とされる。冷蔵庫は無駄な開閉を減らすことや、温度設定を「強」から「中」にすると良いみたいだ。














