原告側、政府をけん制―韓国 元徴用工、解決へ早くも暗雲

原告側、政府をけん制―韓国
元徴用工、解決へ早くも暗雲

 【光州(韓国南西部)時事】2018年に韓国最高裁で日本企業への賠償命令が確定した元徴用工訴訟で、原告側は30日、被告企業が参加しない基金を通じて補償する案などが解決策として検討されていることについて「加害者に免罪符を与えるものだ」と反発し、解決を急ぐ尹錫悦政権をけん制した。三菱重工業を被告とした訴訟の原告側が、南西部・光州で記者会見した。

 日本政府は1965年の日韓請求権協定により解決済みとの立場で、被告企業の基金への資金拠出を認める可能性は乏しい。このため、韓国企業などに加え、訴訟と無関係の日本の企業や国民が自発的に基金に寄付する案が浮上している。

 しかし、原告側関係者は「なぜ加害者からの正当な賠償ではなく、全く関係ない人からの寄付を受けなければいけないのか」と述べ、基金案を受け入れる場合は被告企業の出資が必要だと強調。日本企業の資産に被害の及ぶ「現金化」が迫る中、「司法の正義に基づかない解決策は、(日韓)関係を改善させるのではなく、状況をさらに悪化させる」と主張した。

 韓国外務省は7月4日に、問題解決に向けた政府と専門家らの協議体を発足させる方向。訴訟代理人の弁護士によると、外務省側は先週、原告側の参加も打診した。ただ、弁護士は「加害企業の出資、歴史的事実の認定、遺憾表明という措置が伴わない案について政府と協議するのは難しい」と語り、初会合を欠席する意向を示した。ただ、別の訴訟の代理人は参加する可能性があるという。

 尹大統領は訪問先のスペインで28日、岸田文雄首相に「参院選後、懸案を早期に解決する考えを持っている」と強調し、解決への動きを本格化させる構えを見せた。だが、尹政権の意気込みとは裏腹に原告側は冷淡で、早くも先行きに不透明感が漂っている。

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