NPT会議、再び決裂 ロシア反対、最終文書採択できず

NPT会議、再び決裂
ロシア反対、最終文書採択できず

 【ニューヨーク時事】ニューヨークの国連本部で開かれていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は26日、最終日を迎えたが、ロシアの反対により最終文書案を採択できず決裂した。ロシアのウクライナ侵攻で世界の安全保障環境が急激に悪化する中、核軍縮に向けた合意形成に失敗し、「核なき世界」が一層遠のく結果となった。

 決裂は2015年の前回会議に続き2回連続。ロシア代表は文書案が「あからさまに政治的だ」と強調。「残念ながらこの文書案にはコンセンサスがない」と述べた。

 条約の履行状況や今後の行動指針をまとめた最終文書の採択に向け交渉は最後まで続けられた。既に核兵器の「先制不使用」政策採用を核保有国に促す記述が削除されるなど、妥協を重ね内容は後退していたが、ウクライナ侵攻などをめぐり議論はもつれた。それでも多くの国が土壇場での合意に望みをつないでいた。

 スラウビネン議長は25日深夜、これまでの議論を反映させた最終文書案を提示。26日午前は非公開で最終調整が行われていた。
 各国が最終案に対し意見を述べる最後の全体会合は、26日午後3時(日本時間27日午前4時)から始まる予定だったが、「協議にさらに時間が必要だ」(スラウビネン氏)として約4時間半遅れで開かれた。合意形成を目指し、ぎりぎりの作業が続いたが、ロシアは反対を貫いた。

 最終案は、原子力災害発生の危険が高まっているウクライナ南東部ザポロジエ原発での軍事活動に「重大な懸念」を表明する一方、ロシアを名指しする文言を削除した。採択に必要な全会一致を得るため、ロシアに配慮した形だった。

 ただ、最終案は、核保有国に対し、ウクライナの核放棄と引き換えに同国の安全を米英ロが保障すると約束した1994年の「ブダペスト覚書」を順守するよう求めていた。ロシアはウクライナ関連の記述に反発していた。

 今回の再検討会議は当初、20年春に開催される予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2年延期されていた。今回の会議は1日に始まり、4週間に及んだ。次回は26年にニューヨークで開かれることが決まった。

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