「人を大切に」「元に戻ると信じて」 高校生、被災地で新たな門出―感謝や希望胸に卒業・能登地震

「人を大切に」「元に戻ると信じて」
高校生、被災地で新たな門出―感謝や希望胸に卒業・能登地震
 卒業式を前に、復興への希望を込めて桜の木を植えた石川県立門前高校3年の大岩紅葉さん(左)と田思陸さん=2月29日、石川県輪島市

 能登半島地震から2カ月となった1日、石川県の県立高校で卒業式が開かれる。「周りの人を大切に」「元に戻ると信じている」。生徒たちは周囲への感謝や復興への希望、将来への期待を胸に門出を迎える。

 輪島市の門前高校3年の大岩紅葉さん(18)は地震発生後、白山市の親戚宅に避難した。両親や祖父母は被災した自宅に残り、中学生の妹は集団避難で離ればなれに。「周りの人たちと一緒にいられる時間の大切さを再確認した」と語る。

 生まれつき耳が聞こえづらい大岩さんは「将来は障害を持つ子どもたちと関わりたい」と、金沢市内の大学の教育学部に進学する。「いろいろな人と出会い、たくさん楽しい時間を過ごしたい」。送り出してくれる家族への感謝を胸に、新たな一歩を踏み出す。

 中国から編入した田思陸さん(19)は、地元商店街の活性化策を考える授業が印象に残っている。顧客満足度を測るアンケートや各店舗の魅力を伝える貼り紙を作成し、観光客向けの中国語訳も担当。「チームメートと力を合わせた。地域の人が優しかった」と振り返る。

 商店街は地震で大きな被害を受けた。「いつか学校が元に戻ると信じているし、地域の皆さんの生活ももっと良くなる。高校生活は本当に楽しかった」。第二のふるさとへの思いを答辞に込める。

 七尾市の七尾東雲高校を卒業する北田歩さん(18)は避難所での生活が長く続いた。「友達の声を聞くと安心するが、それができなかった」と吐露する。卒業後はアルミニウムの加工会社に就職する予定で、「誰かの役に立てるものを作りたい」と意気込んだ。

 石川県では、ほぼ全ての県立高校がこの日に卒業式を実施する。

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