厚真町は、2018年9月に発生した胆振東部地震の土砂崩れで19人が犠牲になるなど壊滅的な被害を受けた吉野地区について、復旧工事後の土地管理を目的にした緑化事業を計画しており、その一環として桜の植樹を検討している。
同地区の山は震災以前、エゾヤマザクラが点在し、「吉野桜」と呼ばれるなど桜の名所として町内外の人に親しまれていた。地区名は「奈良の吉野」(奈良県吉野町)に由来したとも言われる。
しかし、一昨年の地震で起きた山腹崩壊により、桜の木は神社や生活会館とともに押しつぶされ、現地には明治期にこの地に尋常小学校の分校が開かれたことを伝える「教育発祥の地」と記された石碑だけが残った。
町によると、現在は急傾斜地の安定化を図るための治山工事が進められており、今年度中に完了する予定。これらを踏まえ、今月上旬に行われた住民との意見交換会で進捗(しんちょく)状況等を説明し、宮坂尚市朗町長が意向を伝えた。
町は今後、土地を管理していく上で個別に地権者の意向を確認し、緑化事業に賛同する地権者の土地を貸与してもらう形で植樹を検討する。桜の木については、奈良県にある吉野山のシロヤマザクラの苗木など民間企業から提供を受けた苗木を植える考え。早ければ来年にも着手する予定だ。

















