苫小牧漁業協同組合(伊藤信孝組合長)が魚介類の海外輸出に力を入れている。昨年4月からタイ・バンコクにホッキやウニ、サケなどを定期的に空輸し、2019年度は魚介類約8トンを販売。20年度は新型コロナウイルス感染拡大により、輸出が一時止まったが、5月中旬に再開してからは週2回ペースで空輸。苫小牧漁協は「現地では鮮度の評価も高い。出荷を拡大したい」と意気込んでいる。
苫小牧産魚介類の海外直輸出は、15年に「苫小牧港漁港区将来ビジョン21」の水産ワーキンググループがマツカワを香港に試験出荷したのが始まり。販路の開拓やブランド力向上を目指した事業で韓国、マレーシア、香港、ベトナムへの試験出荷や社会実験を続けた。17年度には中国向けにホッキを本格出荷したが、中国側の輸出手続き見直しなどで終了した経緯がある。
一方で苫小牧産魚介類への引き合いは強く、19年3月に航空関連企業からの提案を受け、タイのトンロー日本市場に試験出荷。朝に苫小牧で水揚げされた魚介類を新千歳空港から羽田経由でタイに輸出し、翌朝にバンコクのトンロー日本市場に並べる仕組みを整えた。同4月から週1回ペースで海外輸出が始まり、同6月に週2回ペースに拡大した。
19年度は地場産のホッキやウニ、サケ、マツカワなどのほか、千歳市の支笏湖チップ(ヒメマス)など市外の漁獲物も積極的に取り扱った。年間約8トンを輸出し、販売高は非公表だが、高価格帯の魚介類を中心に出荷し、販売事業として一定の採算性を確認。豊洲市場(東京)からの出荷と遜色ない早さで、魚介類を海外に提供し続けた。
例えばホッキなどの貝類は水揚げ直後の午前9時ごろから、発泡スチロール箱に6~7キロずつ整然と詰め、乾燥しないよう水で濡らした新聞紙を掛けたり、氷を一緒に入れたりと新鮮さを保つよう工夫。箱詰めする様子を毎回スマートフォンで撮影し、画像をインターネットで現地に送っており、魚介類がタイの市場に並ぶ前に買い手が付いていることもあるという。
コロナの影響で4月に出荷をやめたが、5月中旬から成田経由で再開した。同漁協の阿部島蘭事業部長・同ビジョン21担当は「タイ到着までの時間が余分にかかるようになったが、現地の高級店などに新鮮さが評価され、高値で取引されている」と強調。コロナ収束を見通せる状況にはないが「新たな戦略として輸出事業に力を入れていきたい」と語る。
















