白老町日の出町4の山本信雄さん(86)が、趣味で続けてきた短歌を収録した歌集「運否天賦」を自費出版した。地域の自然や日常の暮らしなどを題材にした700点余りを載せた。山本さんは「短歌の創作は生きがい。これからもどんどん生み出していきたい」と張り切っている。
山本さんは白老の郵便局を退職後、2000年から短歌を作り始めた。第二の人生の中で何か趣味を持ちたいと考え、夕張市で過ごした中学生時代、短歌が好きだったことを思い出して創作に取り掛かったという。
新聞への投稿をきっかけに短歌を次々に作り、専門誌や白老ペンクラブの文芸誌などに作品を出し続けた。創作活動を始めて今年で20年の節目を記念し、歌集(A5判、253ページ)を自費出版した。
歌集には家族への思い、旅先で出合った風景、入院生活など日常生活を題材に言葉を紡いださまざまな作品を収録し、地域の自然を取り上げたものも多い。白老に流れるウヨロ川のサケの遡上(そじょう)風景を描いた「ウヨロ川母なるところ帰りきて子孫のこして一生終える」、ヨコスト湿原の自然の豊かさを伝える「ヨコストの沼に集いし鴨のむれ小波まくらに浮寝している」といった歌や、苫小牧のウトナイ湖、勇払原野の四季を描いた作品も収めた。
また、「コタンから春がはじまる白老は踊るメノコのかけ声はずむ」など、アイヌ文化が根付く白老ならではの短歌も載せた。
国内最大の歌人団体・日本歌人クラブ(本部東京)にも所属する山本さんは「歌集は私の創作活動の集大成。これからも作り続けていきたい」と意気込む。歌集は非売品で今後、白老町立図書館などに寄贈する。

















