手を合わせ、新たな決意 「下を向いていたらいけない」 厚真へ町内外から参列者

手を合わせ、新たな決意 「下を向いていたらいけない」 厚真へ町内外から参列者
祭壇の前で手を合わせる参加者=6日、厚真町総合福祉センター

 2018年9月に発生した胆振東部地震から2年を迎えた6日、大きな被害を受けた厚真町には、犠牲者を悼み多くの人が町内外から訪れた。亡くなった人との思い出と復旧復興へ向けた思いを胸に、それぞれが静かに手を合わせた。

 町総合福祉センターを訪れた町内ハスカップ農家の山口善紀さん(49)は、吉野地区に住んでいたかつての同級生らが犠牲となったことから「本当に突然のことで悔やみ切れないと思う。彼らの分まで頑張って前に進んで行けたら」と誓い、献花台で手を合わせた。土砂が撤去され、農地が復旧したことに感謝する一方で、「崩れた跡の山肌を見ると、忘れてはいけないと改めて感じる。映像で見るたびにショックですよね」と静かに語った。

 震災により新町の一軒家が全壊被害に遭い、現在千歳市内のアパートで暮らす山田真知子さん(70)は「失ったものは大きいとひしひし感じる。この前も息子と『古里がなくなった』という話をしていた」と涙を拭う。それでも「命を落とした方々がいるので、私たちが下を向いていたらいけない」と懸命に前を向いた。

 以前、厚真町で循環バスの運転手をしていた安平町早来大町在住の谷藤昭吉さん(67)は犠牲者になった人たちとバスの中でよく世間話をしたり、時には野菜をもらったりするなど親交を深めていた。「安らかにお休みくださいという気持ちでお参りさせてもらった」と冥福を祈った。

 町内桜丘の専厚寺で執り行われた厚真町仏教会による物故者三回忌追悼法要には、遺族など約50人が参列した。朝日地区に住む奥村芳一さん(79)は吉野地区で犠牲になった親戚との思い出を挙げ「優しかったし、遊びに行くと、いつもよくしてもらった」と懐かしみながら故人をしのんだ。

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