天然きのこ鍋などの名物料理で町内外に多くのファンを持つ白老町大町の「ファミリー居酒屋・河庄」店主河崎光典さん(77)が10月、同店の経営から退く。白老で半世紀近く飲食業を営んできたが、「年齢や体力を考えた上での結論」と引退を決めた。同店の経営は町内在住の三国豊さん(35)、志の生さん(35)夫妻に引き継ぎ、”新生河庄”をサポートしていくという。
東京の飲食店で働いていた河崎さんは、獣医の父親が住む白老で1972年、スナックを営み始めた。その後、パブなどを運営し、88年に河庄をオープン。自ら採取した山菜や川魚、キノコなど天然物を使った料理を提供し、河庄の味を求めて地元をはじめ、道内各地から客が訪れる人気店となった。
河崎さんは「お客さんに本物を味わってほしい」と、春から秋にかけて絶え間なく胆振、日高の山林に出掛けて食材を調達。客の喜ぶ顔を励みに続けたが、体力的にも厳しくなり、「70歳になったら店を誰に譲ろう」と後継者を探した。だが、なかなか見つからず、河庄を畳むことを考えたが、昨年秋、たまたま来店した三国さん夫妻と出会い、「この店をやってみないか」と声を掛けた。釣り好きの豊さん、料理が得意で愛想の良い志の生さん。直感的に「この若い2人ならば、任せられるのでは」と思ったという。
いつかは料理店を営みたいと夢を抱いていた三国さん夫妻は、悩んだ末に引き継ぐことを決断。今年4月、豊さんは勤め先を退職し、夫妻で河崎さんの指導を受けて修業の道に入った。山菜の採り方や保存方法、多種多様な料理の作り方などを実践的に学び、10月から本格的に店の経営を受け継ぐ。
店名は従来通りとし、13日から10月7日まで店舗の改修工事のため一時休業。同月8日にリニューアルオープンする予定だ。
事業承継に頑張る夫妻に河崎さんは「本当にいい後継者が見つかった」と喜ぶ。経営からは退くが、相談役として当面2人の仕事を支えていくといい、「これまで店を続けられたのは、多くのお客さんの支えがあったからこそ」と感謝する。
3人の子供たちの応援も受けて、三国さん夫妻は「尊敬する河崎さんの知識、経験をもっと学び、白老の海の幸を取り入れた新しい料理にもチャレンジしたい。ここでしか食べられない料理を出し、多くの人に愛される店を目指したい」と張り切っている。

















