記者コラム風 応援

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 胆振東部地震で店舗が全壊し、現在は仮設店舗で経営を続けるむかわ町のたい焼き店「いっぷく堂」の店主、工藤弘さんは、震災を記録として残すことは大切だが、その記憶を持ち続けていても「先に進めない。だから前を向いて、頑張って生きていくの」と力を込めた。

 報道各社は、災害の節目のたびに、記憶を風化させまい―と被災地を取材する。内心、当時を振り返ってもらうことにはためらいもあった。被災者の心情は、災害を体験し、つらい現実を目の当たりにした本人にしか分からない。だが、むかわ町には、初対面の記者にも、丁寧に当時の様子や近況を話してくれる方々がいた。

 工藤さんの店は、もともと、たい焼きが地域の人や子どもとコミュニケーションを取る手段につながれば、と始めた。今も「お客さんが『応援してる』って来てくれるから、暗い顔をしていられない」とよく通る声で笑う。苦境を乗り越えようとするその表情は、りりしく、輝いて見えた。

 胆振東部地震から2年が経過した。まだ仮設住宅に住む人もおり、復興には時間がかかる。もう二度と、町の人から笑顔が消えるような災害が起きないことを心から願っている。(高)

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